広島に対し、巨人は昨季7勝17敗1分と圧倒的に分が悪かったが、今季より「18」を背負う菅野智之だけは違った。3勝2敗と2つの負けこそ献上しているものの、対広島の防御率は1.98。3月29日に敵地・マツダスタジアム広島で迎えた開幕戦も、7回まで投げてソロホームランによる1失点のみ。ここでは菅野が対戦した27人、全102球の投球を、川口和久氏(野球評論家)の解説とともに振り返る。 取材・構成=坂本匠、写真=前島進 3月29日の広島[マツダ広島]との開幕戦に登板した巨人の菅野智之。7回を投げ、4安打1失点で敗戦投手となったが、十二分な内容の投球を見せた
【POINT1 立ち上がり】うるさい田中広の封じ方
5度目の開幕投手となった菅野智之は経験値があり、結果的に7回1失点で試合には敗れましたが、広島との対戦データを参考にしつつ、頭を使って投げていた印象を持ちました。とらえられたのも本塁打1本のみ。本人はその1点を悔やんでいましたが、完ぺきに近い内容でした。
まず注目したのが、1回の投球です。特に一番・
田中広輔への入り。東海大相模高、東海大と7年間チームメートでプロでも何度も対戦し、手の内を知り尽くした相手です。菅野に限らず、対広島打線を考えたとき、容易には三振が取れないこの“うるさい”一番打者を打ち取ると逆にリズムに乗れます。これまでならば安全に外中心という考えがあったように思いますが、この打席は興味深い組み立てとなりました。
初球、外角高めのストレートから入ります。147キロで力のあるボールでしたが、ここからが面白い。2球目を高さはベルト付近も、内角の厳しいコースにカットボールを投げ込み、3球目は内角高めに再びカットで見逃しです。4球目も続けてヒザ元のボールゾーンに食い込むカットで空振りを奪います。これは非常に厳しいコースの最高のボールで追い込みました。決め球に選択したのは、またもカット。ボールゾーンから内角高めに曲がり落ち、田中広が見逃して彼には珍しい三振となりました。実はこれは・・・
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