ドラフトで最大の目玉・佐々木朗希を引き当てた勢いそのままに、一気に今オフの移籍市場で最大の“勝ち組”に駆け上がった。積極的に打って出た姿勢、粘り強く誠実な交渉、潤った資金──。完勝を収めたロッテの補強戦略の舞台裏を探る。 文=長井毅[スポーツ報知] 写真=高塩隆、BBM 
先発ローテ入りはもちろん、美馬[中央]は開幕投手候補にも名前が挙がる。左は河合克美オーナー代行兼社長、右は井口資仁監督
「選手ファースト」の姿勢
ロッテが今オフの移籍戦線で“勝ち組”となることを、どれだけの人が予想していただろうか。
楽天から先発の柱として通算51勝、直近4年間で3度の規定投球回に到達している
美馬学、
ソフトバンクから攻守走がそろった外野のレギュラー候補として
福田秀平を獲得。パ・リーグでは2013年オフにソフトバンクが
鶴岡慎也(
日本ハム)と
中田賢一(
中日)を獲得して以来、球団初のFA選手ダブル獲得を果たした。
これまでFA補強に大きく舵を切ることができなかった“弱点”の克服と、球団の粘り強い交渉が実ったことがポイントだった。昨年12月末、新たな球団本部長のイスに
松本尚樹氏が座った。球団生え抜きの幹部が誕生したことで、これまでとは違った交渉方法で攻めることが可能となったのが大きかった。
美馬との交渉が解禁となった11月3日から実際に交渉を行った11日までの間、まずは食事などで積極的にコミュニケーションを取ることを優先した。美馬の家族の話からこれまで6度、右ヒジを手術していたことまで、さまざまな悩みを聞くことからスタート。その上で条件提示のテーブルについた姿勢が、
巨人、
ヤクルト、宣言残留を認めていた楽天を上回ったと言える。
松本球団本部長の身上は「選手ファースト」。今季チームでFA権を持つ選手を一人ひとり・・・
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