記念の1勝はスタートに過ぎない。5月16日に待望の一軍デビューを果たし、2度目の登板となった同27日の阪神戦(甲子園)でプロ初勝利。喜びはあるものの結果だけに目を向けず、投球内容を見ている19歳。一軍マウンドでの課題と収穫がイコールなのは、次の勝利を見ているからこそ。だから一軍登板2試合も冷静に振り返る。 取材・構成=鶴田成秀 写真=小山真司 
5月16日、一軍デビューとなった西武戦[ZOZOマリン]後に登録抹消も、その間に意識してきことがある
確かなステップ
実戦登板なく終えた1年目はムダではなかった。一軍帯同で“心をコントロール”してきた男は、初の一軍マウンドでも、落ち着いたマウンドさばきを披露。ただ、19歳の心中は「苦しかった」と、本音を漏らす。 ──プロ初勝利から日もたちましたが、1勝への思いに変化はありますか。
佐々木 う~ん、特には変わらないですね(笑)。率直に1つ勝てたことがうれしい、という思いです。
──「長かった」と振り返った1勝です。今季は開幕からファームで5試合の登板を重ねて一軍昇格。一、二軍の違いも感じた一軍登板2試合だったのでは。
佐々木 ファームではバッターが打ち損なうこともありますが、一軍では、そうもいかないな、と感じました。コースを突いてもファウルで粘られて、甘いボールを投げれば逃さずとらえてヒットを打たれる。打ち損じをしない、しっかりとらえる。それが一軍のバッターだな、と一軍で2試合に投げて感じました。
──球場の雰囲気も異なります。一軍デビューとなった西武戦(ZOZOマリン)では気持ちの高ぶりも。
佐々木 試合に入る中では、いつもどおり緊張感はありました。でも、3月のオープン戦(ZOZOマリンの
中日戦での実戦初登板)のほうが緊張していたので、そこまで緊張しているな、という感じは自分の中にはなかったんです。
──昨年の「投げたい気持ちを抑えて心のコントロールをしてきた」の経験も生きているのではないですか。
佐々木 そうですね。自分でも慌てることなく、無心で投げることができたのかな、と思います。周りからも、落ち着いていたというふうに言われることも多くて、そう見えていたのは、心もコントロールできていたとも言えるのかな、と。
──そして注目のプロ1球目は真ん中への151キロでしたが、1球目はストレートと決めていたのでしょうか。
佐々木 決めていたわけではないですけど、普通に真っすぐを投げたというか、そんなに深い考えはなかったです。
──先ほど“無心”の言葉もありましたが、ベンチで笑顔を見せるなど投げる楽しさも感じているようにも見えましたが。
佐々木 う~ん、少しは楽しさも感じましたけど……。でも、そんなに楽しいものではなかったです。責任感というか、苦しさというか……。そういう思いのほうがありました。
──苦しさ、ですか。
佐々木 はい。一番は・・・
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