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2022ドラフト注目選手クローズアップ【高校生編】 プロの夢を追う超高校級

大野稼頭央(大島高・投手)最速146キロを誇る南海の怪腕「最後は真っすぐ勝負。分かっていても打てないボールが目標です」

 

鹿児島の離島・奄美大島に潜在能力抜群のサウスポーがいる。今春のセンバツでは初戦敗退も、高校日本代表第一次候補29人に入った。心身とも充実し、期待はふくらむばかりだ。
取材・文=岡本朋祐 写真=上野弘明

大島高のグラウンドは、校舎から急勾配の坂道を上がった場所にある。生まれ育った、奄美への愛着は強い


高校進学で島に残った理由


 昨秋、大島高は鹿児島の離島勢として初めて県大会を制し、九州大会準優勝。事実上、今春のセンバツ出場を当確とさせる九州大会準々決勝まで、大野稼頭央は公式戦9試合、89イニングを一人で投げ抜いた。

「南海の怪腕」は身体能力抜群。中学生まではバック宙、今でもバック転ができる。175センチ65キロと細身に映るが、体全体がバネのようにしなる。奄美空港から車で約20分の龍郷町出身。大島高校野球部OBの父・裕基さんが、かつて西武で活躍した西武・松井稼頭央のファンだったことから、「カズオ」と名付けられた。「ポジションも異なり、幼少時はそこまで意識することはありませんでした。こうして取り上げていただくたびに、存在のすごさを感じています」。大島高へはバスで約40分をかけて通学。九州大会では3日間、28イニングで467球を投げたが、スタミナ源は幼少期に育まれた。かつて西郷隆盛が約3年過ごし、自然に囲まれた地域で運動センスが磨かれた。大野は「一日中、走り回っていた」と明かす。

 小学1年からソフトボール、3年から野球を始めるが、同時に週1回、体操教室に通い、柔軟性を高めた。龍南中は部員数が少なく、赤徳中と編成した龍郷選抜では、離島甲子園で4強。大野の実力は、大島地区でも抜きん出ていた。高校は奄美大島から離れ、鹿児島市内にある強豪私学への進学も視野に入れていた。だが・・・

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