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2023-24ストーブリーグ戦力往来

<FA補強の真髄>日本一奪回への使者・西川龍馬(広島→オリックス) “ナカジマジック”との科学反応「すごい細かい野球をするイメージがある」

 

早期決断は相思相愛を表すものだ。広島からFA宣言し、交渉解禁の11月16日から6日後にオリックス入団を決めたバットマンの思いは、リーグ4連覇&日本一奪回へ向けたチーム方針と合致。“天才”と称される打者の挑戦は、柔軟にタクトを振るう中嶋聡監督とマッチするものだ。FA補強の真髄“必要だから獲る”は、“ナカジマジック”との科学反応で、補強の意味を増幅させていく。
写真=牛島寿人

敦賀気比高の1学年先輩である吉田正尚が着けた7を継承。背番号からも期待の大きさがにじむ


自らも輝くパッチワーク


 挑戦の思いは言葉の端々からにじむ。興味を示してきたパ・リーグの野球に「パワーピッチャーが多いというイメージ」と言いつつ「自分がやってきたことが、どれだけ通用するのか」と胸を高鳴らせる。類まれなバットコントロールで安打を放ってきたバットマンは、さらなる成長を期して地元・大阪の縁もあるオリックスを新天地に選んだ。

 新たなチームは“天才”と称される男にとっても好材料ばかり。最大の魅力であり、武器である打撃面でも、自らの力を発揮できる環境と言える。目標に掲げる「打撃タイトルを獲る」に、福良淳一GMも「何でもいいから獲ってほしい」と期待するのは「チャンスメークもできるし、ポイントゲッターにもなる」と多彩な役割をこなせるからこそ。起用打順はこれから定まっていくが、2023年も143試合で135通りのオーダーを組んだ中嶋聡監督が“完全固定”するのは考えにくく、複数打順を担うのが現実的。ただ、起用候補の筆頭は一番だろう。

 23年の開幕当初は新人・茶野篤政がリードオフマンとして奮闘も、シーズン中盤に状態を落として以降の一番は日替わり。中川圭太渡部遼人野口智哉福田周平ら、計14人を起用して“一番打者の適任探し”が続いた。日本シリーズ第1戦で高卒2年目の池田陵真を抜擢するなど最後まで課題解消とはならなかっただけに、『一番起用』の可能性は高い。

 一番はベースに過ぎない。選手の状態や相手投手の兼ね合いも踏まえてオーダーを組むのが、中嶋監督の采配が“ナカジマジック”と呼ばれるゆえん。時に二番に置いて『つなぎ役』、三番に置いて『ポイントゲッター』を託すことで、“マジックの種”を増やしていく可能性が大。いずれにしても下記表のように森友哉頓宮裕真杉本裕太郎の前を打つことで、強打者たちとの相乗効果も期待でき、打線に厚みを与えるのは間違いない。チームの印象に「すごい細かい野球をする」と、心の準備もできている。

予想起用打順3パターン

※△は左打ち


 増えるオプションは打撃のみならず、守備でも同じこと。定位置は右翼が予想されるも、中堅、左翼にも就けるとあって、下記の図のように複数のパッチワークが可能に。故障や不振の選手が出ても“戦力維持”する指揮官の巧みな起用をさらに助けていくだろう。

予想起用位置3パターン

 そんな多彩な起用が、西川龍馬を生かすことに直結する。新天地での目標に「ケガをしない」も挙げるのは、「打率は上下するので、積み重ねていく安打数のほうが、自分には向いているのかな」と、具体的な目標タイトルに『最多安打』を挙げることは、試合に出続ける決意を示すもの。シーズン打率3割を3度記録したことがあるとはいえ、故障離脱もあった男にとって、状態を見極めての起用は西川自身にとっても大きな意味を持つ。

 挑戦を胸に、戦い続けることを目指す男と、多彩な起用が可能だからこそ獲得したオリックス──。双方の意にそぐう補強こそFAの本質だ。個と和で起こす科学反応で、リーグ4連覇と日本一奪回への最強ピースとなる。

PROFILE
にしかわ・りょうま●1994年12月10日生まれ。大阪府出身。176cm83kg。右投左打。敦賀気比高[甲]-王子-広島16[5]-オリックス24=9年。
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