投打ともに若手がレギュラー獲得に向けしのぎを削っている。その中で目立つのが即戦力と目され一軍キャンプに抜てきされたドラフト2位右腕だ。最速159キロの真っすぐを武器に、その壁を乗り越えようと、がむしゃらにあらゆることに取り組み、開幕一軍入りを目指している。 取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也 
今年のドラフトで唯一一軍キャンプに呼ばれた椎葉。12球団の中でも最も層の厚いリリーフ陣の中で、必死に食らいついている
考えて野球に取り組む
一軍では唯一の新人投手として参加していた。独立リーグ、徳島ではクローザーに転向し、1年で阪神にドラフト2位指名。元捕手であり社会人野球からは見放された。そこからはい上がり159キロの速球を武器に、一軍の切符をつかもうとしている。投手への転向から日が浅いため、日々の練習が大きな教材となって自身を成長させている。 ――独立リーグとNPB。同じキャンプでもまったく違うものですか。
椎葉 はい。キャンプ途中からめちゃくちゃ疲れています。新人なので気疲れもあります。でもそれ以上にファンの多さにびっくりして……視線の多さ、報道陣も含め、誰かに必ず見られているという意味での気疲れもあり、プロ野球は、そして阪神は違うんだな、と思っています。
――練習に関してはいかがですか。
椎葉 練習の量も多いです。もしかしたら徳島(四国IL)が少なかったのかもしれません(笑)。阪神の量は、プロ野球の中では普通かもしれませんが、僕自身、すごく多く感じています。
――この多さは自分のためになる多さと感じていますか。
椎葉 独立リーグは年間70試合くらいです。NPBは143試合とかなり多いですよね。それを乗り切るための体力を、このキャンプでも身に付けなければ、と思うと、走り込みと練習量が必要だなと感じています。
――それ以外にも練習に意図を感じたりしていますか。
椎葉 この練習は、ここを鍛えるトレーニングだな、と分かることも多いので納得しながらこなせているのは大きいですね。技術的な部分でもためになる練習も多いです。そして、きついな、と感じる練習も、それは絶対に自分の身になるものだと、思って取り組んでいます。
――独立リーグのときから、練習の意図を考えながら取り組んでいたのですか。
椎葉 はい。阪神では実はキャンプの第1クール途中までは、きついなあ、ということしか考えていなかったんです。でも第1クールの最終日に、きつい、と思いながら練習するのは意味がないな、と気が付きました。
――周りの先輩たちを見ながらそう感じたんでしょうか。
椎葉 先輩に聞いたら「これが普通だよ」と(苦笑)。僕自身、まだまだ体力がなかったな、と感じたので、すべての練習が自分にとっては必要なんだ、と思いました。
――気持ち的にも前に進めたからこそ、そう思えたのでしょうか。
椎葉 そうです。気持ちが前向きになったので、毎日が楽しくできています。楽しさの中にきつさが入っている感じです。
――そこはNPBに入れたという喜びもあるからこそ、楽しさも見つけられたのでしょうか。
椎葉 はい。ただNPBに入れたといううれしさだけではダメなので・・・
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