今季に向けた最大の国内FA移籍劇だった。8年連続で100試合以上の出場を続け、7度のゴールデン・グラブ賞に輝く球界きっての“正捕手”が求めた新天地。伝統球団で指揮官が背負った『10』を受け継ぎ、チームを勝利に導くことで自らの価値を証明する。 取材・構成=杉浦多夢 写真=桜井ひとし 
阿部監督[左]の『10』を継承して「ジャイアンツの甲斐」として再出発する
司令塔の役割
「決め手は阿部慎之助監督」。入団会見でそう口にしたのは、あこがれの捕手だった指揮官から「司令塔」「グラウンドの監督」として高く評価されていることを感じたからにほかならない。3ケタ番号から始まった野球人生だったが、今季からその背中に躍るのは阿部監督から継承した『10』。責任とプレッシャーをはねのけ、新天地で躍動することを誓う。 ──ジャイアンツのユニフォームを着て、新たな日々が始まっています。
甲斐 やっぱり“ジャイアンツ”ですから。楽しみはたくさんありますね。いまだにワクワクもしていますし、不安というかプレッシャーはある。環境が変わる大変さも感じていますし、やるべきことがたくさんあるという感じです。
──春季キャンプでの一番のテーマ、意識していることは何でしょうか。
甲斐 チームの動きを知ることもそうですけど、まずはピッチャー陣のことをよく知らないといけないですし、捕手としての僕をピッチャー陣に早く理解してもらえるようにしなければいけない。バッテリーを含めて、チーム全体としても僕自身をしっかり理解してもらいながら、僕もチームを理解できるようにしないといけない期間だなと思っています。
──FA移籍を決めるに際して、「決め手は阿部慎之助監督」という言葉がありました。甲斐選手にとって、現役時代を含め阿部監督はどんな存在でしたか。
甲斐 絶対的なキャッチャーですよね。プロ野球界における中心的なキャッチャーだと思っていますし、僕も小学生のころからそういうふうに見てきたので。そういった方と一緒の場所で野球ができるというのは、僕にとっても選手としてプラスだなと思っています。
──それだけに阿部監督が着けていた背番号『10』を受け継ぐことは、重みやプレッシャーがあるのでは。
甲斐 少なからずありますね。でも、提案されたときは、1人の捕手として間違いなくうれしかったです。
──『10』は侍ジャパンでも着けていたなじみの番号でもあります。
甲斐 もともと好きな番号でしたし、それは少なからず阿部さんが着けていたというのがあると思います。阿部さんが・・・
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