抜群の身体能力と膨大な練習量に裏打ちされ、高い評価を受ける広大な守備範囲が生きるのは、最後の球際の強さを兼備しているからにほかならない。一つひとつのプレーを下支えしてくれる“パートナー”への信頼感は計り知れない。 取材・文=杉浦多夢 写真=桜井ひとし 
「同じグラブでも、熟成させることによってフィーリングがちょっとずつ変わってくる」
“感覚”が最優先
二塁というポジションに対する意識について、「送球については余裕があるポジションだと思うので、まずは捕ること」と
吉川尚輝は口にする。ゆえに当然、グラブへのこだわりも人一倍、かつ独特でもある。ただ、最初のスタートは
広島・
菊池涼介のモデルがベースとなっていた。
昨年、念願の初受賞を果たし、「ずっと目標にしていたところだったので、うれしかった」と語るセ・リーグ二塁手部門のゴールデン・グラブ賞を、2013年から10年連続で独占していた名手の中の名手。吉川にとっては、常に高い壁として立ちはだかり続けるライバルであるとともに、中京学院大の偉大な、そしてあこがれの先輩でもある。
「プロに入って試合にしっかり出られるようになったころだと思うので、2019年から20年にかけてくらいだと思います。菊池さんにお願いしてグラブをいただいたときに、僕が理想とするような好きな形だったんです。“縦型”って言えばいいんですかね。それからすぐに菊池さんのグラブをベースにしたものをつくっていただいて、少しずつ自分なりに進化させてきました」
硬めの革が好みであり、「柔らかくなり過ぎてしまうのがイヤ」と言いながら、好みは変わる。最優先となるのはその時々における自らの感覚だ。
「グラブに一番求めるものは、やっぱりはめたときのフィット感です。昔は硬いグラブが好きだったんですけど、年々いろいろな革を試させてもらってきた中で、少し柔らかめの革も好きだなと思うようになってきました。それでも硬いほうだとは思うんですけど」
大きな特徴のひとつと言えるのが、人さし指の部分を加工して、もともと通常より硬い革をさらに「ガチガチに」していること。捕球における安心感を生み出すためのものだ。
「ちょっと硬めの素材を入れてもらっています。できるだけ、人さし指の部分は折りたくない、折れてほしくない。ゴロを捕球するときに、グラブが寝てしまうのがイヤだったんです。ここ(人さし指の部分)が強ければ打球にも負けない。
それからゴロの通り道というか、グラブへの入り口をキレイにしたいという感覚もあります。ボールが真っすぐ、勝手にグラブへ入ってくる、じゃないですけど。ここがしっかりしていることで、そういう入り口をつくってあげるイメージです。そうすることで、キャッチングにおける安心感が格段に変わってきます」
人さし指部分の加工について説明してくれると・・・
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