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甲子園特集 2020年夏の記憶

<2020年夏の先に>DeNA・篠木健太郎(木更津総合高) 特別な夏は変わらずに「あの夏があったから、この一瞬をムダにしてはいけないと強く思っています」

 

1年の夏から甲子園のマウンドを経験したが、そこに残ったのは悔しさだけ。3年の夏こそ、すべてを上書きする活躍を見せるつもりだった。しかし、どれだけ頑張っても、どんなに結果を残してもたどり着くことができなくなった。すべてを失ったかにも思えた2020年の夏だったが、その中でかけがえのないものを見つけた。
文=早川大介 写真=中島奈津子、BBM

篠木健太郎[木更津総合/現DeNA/投手]
2020年千葉県独自大会決勝[対専大松戸]で完投勝利し、歓喜の輪の中央で喜ぶ篠木


消え去った甲子園と目標


「もう一度、あのマウンドで投げたいと思って、ずっと頑張っていました」

 2020年、自分たちが主役となるはずだった夏に向け、篠木健太郎は木更津総合のグラウンドで汗を流していた。あのマウンドとは、もちろん甲子園。篠木は1年春からメンバー入りすると、チームは千葉大会を勝ち抜き、夏の甲子園へ出場。篠木は下関国際との3回戦で救援登板し、2回を投げて2失点、チームも敗退し悔しい思い出だけが残っていた。

 2年時の夏は習志野に準決勝で敗れ、自身が主将となった秋も習志野に準決勝で惜敗。甲子園のマウンドで雪辱する機会は、3年の夏を残すだけとなった。

 最後の夏に向けて厳しい冬の練習をこなす中、世間が少しずつ騒がしくなっていく。中国・武漢で最初に確認された未知のウイルスは、瞬く間に世界中へと広がった。そして3月11日、春の甲子園の中止が決まる。しかし、それはまだ自分には関係のない話に感じていた。

「この言い方が正しいかは分かりませんが、自分たちには夏しか残されていなかったので、チームとしても自分としても夏に向かってやっていくだけでした」

 夏の県大会まであと3カ月と少し。残された時間を、これまで戦ってきた仲間たちとともに大切に過ごし、余すことなく充実させる。それだけだった。

 しかし、事態は悪い方向へと向かっていく。3月24日、東京五輪の延期が決定。4月7日には千葉県を含む7都府県に緊急事態宣言が発令された。

「学校が休校になり、部活動も全面禁止に。寮も解散になる中で・・・

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