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2025ドラフト直前展望 逸材クローズアップ【それぞれのドラフトStory】

東大・渡辺向輝(投手) 考え抜く野球を貫いて「“自分は自分”というプレーヤーとしての爪痕を残したい」

 

小柄な体から巧みな投球術と思考力を駆使し、東京六大学の強打者を牛耳る姿で、神宮の観客を魅了してきた。生き残る道を模索し、元プロ野球選手の父と同じフォームにたどり着いた赤門のサブマリンエースは、東大史上7人目のプロ入りを目指し父と同じ世界へ勝負を挑む。
取材・文=中野聖己 写真=兼村竜介、矢野寿明

「一番の強みは低いリリースポイントからさまざまな球種を操れること」と自己分析する


野球でも父と勝負したい


 東大野球部のブログ『僕の野球人生』に綴られた言葉には、赤門エースの思いすべてが詰まっている。

 元プロ野球選手の父を持つ息子として、100年の歴史を誇る東京六大学リーグで格上の強打者に立ち向かうサブマリンとして、希有な野球人生を歩んできた渡辺尚輝は、自らの野球への集大成とも言えるプロ志望届を提出した。父・渡辺俊介氏(現日本製鉄かずさマジック監督)はロッテでNPB通算87勝をマークした「ミスターサブマリン」。志望届を出した目的も、幼少期から立ちはだかってきた父の影響によるところが大きい。

「父親の存在が小さいころからずっとあって、プロ野球選手の子どもという見られ方をされてきました。“自分は自分なんだ”とプレーヤーとしての爪痕を残したいという思いが一番でしたね」

 中高一貫の名門校、海城中、海城高を経て猛勉強の末に現役で東大合格。高校までは軟式野球部に所属し、東大進学当初は野球を続けるつもりはなかったというが、野球以外で自分の存在意義を確認できたことで、新たな目標が芽生えた。

「高校のころまでは勉強で父に勝とうとしていました。でもやっぱり野球で勝たなければ勝ったとは言えないなと思ったんです。勉強の部分で自分は自分なんだという証明が一つできたので、負い目を感じなくなりました。自分には頑張ってきたものがあると自信を持って言える状態になったので、野球でも勝負したいと」

 プロ志望届提出の基準を「大学日本代表候補合宿参加」としたのも、父がクリアできなかったことだから。「父親は大学時代に代表候補には入っていなかったので、自分の中で大学時代の父親を超えたと思える瞬間があったら出そうと思っていました」。

自身の強みも変化


 6月の大学日本代表候補合宿では紅白戦に3連投して1イニングずつを無失点。“基準”をクリアし・・・

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