
全員一丸でつかんだ日本一。ベンチにもレギュラークラスの選手たちが出番を待っていた
雨降って地固まる――。2025年の
ソフトバンクの戦いを振り返ると、この言葉の重みをあらためて実感する。昨年のオフに正捕手・
甲斐拓也が
巨人へ、先発ローテーションの一角だった
石川柊太が
ロッテへと移籍。さらに春季キャンプ中には昨季9勝を挙げたC.
スチュワートJr.が左脇直筋を痛めリハビリ組へ。オープン戦では
栗原陵矢がフェンスに激突し、右脇腹痛で開幕一軍を逃す。
開幕してからも悪い流れは断ち切れず、
近藤健介が開幕3試合で登録を抹消され、4月2日に手術。
柳田悠岐が自打球、
周東佑京、
今宮健太は死球の影響で戦線を離脱するなど、チームはわずか1カ月で主力の大半を欠く非常事態となった。昨季、貯金42個を築いた主力のほとんどの顔ぶれが不在――。4月の初めには12年ぶりの単独最下位に沈み、5月の終わりまでは、勝率5割を行ったり来たりするのがやっとだった。
そんな中、6月からソフトバンク担当になった。3日から始まった交流戦から本来の強さが戻ってきたように感じた。日替わりのヒーローが誕生したことで史上最多の9度目の交流戦V。リーグ戦再開後も勢いは変わらず、9月27日の
西武戦(ベルーナ)で2連覇を達成した。
今年の優勝は新たな戦力がチームを押し上げた。野手では交流戦MVP、規定打席に初めて到達して最高出塁率のタイトルを獲得した
柳町達、11月の代表戦に選ばれた
野村勇。投手では後半戦だけで4連勝、防御率1.35の好成績で日本シリーズでも先発を務め、勝利を収めた
大津亮介らの活躍が光った。中でも正捕手として1年間マスクをかぶり続けてきた
海野隆司の存在は大きく、2年連続でチーム防御率1位と甲斐の抜けた穴を感じさせなかった。
リーグ優勝の祝勝会で周東は「僕も含めてケガ人が多く、何しているんだというシーズンが長かった。その中でも若い力、多くの選手が一軍を経験して全員の力でリーグ優勝ができた」と話すように、誰かが抜けても若き戦力がその穴を埋める活躍を見せる。試合経験を積む中で選手が成長し、チーム全体の底力でつかんだリーグ優勝、日本一だった。
あらためて自身が担当となった6月からの勝敗を調べてみると、94試合で63勝29敗2分け、勝率.685。また、史上最速のリーグ優勝を果たした
阪神は92試合で56勝34敗2分け、勝率.622と、ソフトバンクは阪神を上回る結果だった。来季はどんな成績を残すのか――。楽しみでならない。(文=壁井裕貴[ソフトバンク担当])