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福岡ソフトバンクホークス・武田翔太インタビュー「エースへの距離感」

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2015年、パ・リーグのⅤロードをひた走ったソフトバンクの先発投手陣で、ローテーションを一度も飛ばすことなく、役割を務め続けた22歳の若き右腕。8勝を挙げた2012年の衝撃デビューが一転、2、3年目は右肩痛に苦しんだ。その中で、自身への手応えをつかんで挑んだ4年目のシーズン。「このチームのエースになりたい」の大志との距離感を聞く。
取材・構成=菊池仁志 写真=毛受亮介、佐藤真一、湯浅芳昭

先発ローテで奮闘し、ひと味違った優勝の味


 9月17日、優勝マジックを「1」として臨んだ西武戦(ヤフオクドーム)に先発。7回を投げて被安打5、2四球、7奪三振、1失点の好投でリーグ優勝決定試合の勝利投手となった。今季は入団4年目で初めて開幕から先発ローテーションを守り抜き、2ケタ勝利にも到達した。先発陣の中心に座り、ひと皮むけたシーズンを振り返る。

今季は開幕から先発ローテーションに定着。9月27日時点で13勝を挙げ、リーグ優勝に貢献した



──リーグ優勝は自身2度目となりますが、昨年は一軍に合流したのが8月でした。1年間、先発ローテーションで働いた今季は、また違う思いがあるのではないですか。

武田 そうですね。今年は1年間、投げ続けて優勝することができましたので、ちょっとひと味違う感じが自分の中にあります。

──達成感?

武田 達成感というか、しっかり、シーズンを通してやれたなっていう感じです。

──今季は先発ローテーションを守ることを一番の目標に挙げていました。

武田 まずはケガをせずに投げられたことが僕の中で一番、うれしかったことです。結果は2番目でいいかなというイメージでやってきました。とりあえず1シーズン投げ切ることを目標にやって、それが達成できれば結果はついてくるという意識でいました。

──昨年、一昨年は右肩痛に苦しみました。

武田 ケガの意識は、右肩に限らず、全身において持っていましたけど、僕の場合は2年続けてやっているんで、3回目はないですからね。細心の注意を払っていました。

──不安を覚える時期はありませんでしたか。

武田 1シーズンやり続ける中では、疲れが出た時期はありましたけど、去年、おととしとケガをしたから勉強したトレーニングに取り組んだり、間隔を空けないといけないと思ったときは休むことを恐れなかったり、そういうところでしっかり自分の体と話をしながらできたと思います。そこはケガをした経験をかなりプラスに転じることができた点かなと思います。

──4年目、22歳のシーズンで2ケタ勝てたことはどのように評価しますか。

武田 10勝に到達して(8月22日・楽天戦、コボスタ宮城)、ホッとしたところは確かにありましたけど、まだまだいきたいなという気持ちは強いです。ただ、勝ち星をいくつ挙げたいとかは、意識するものではありません。抑えても勝てない試合があれば、失点が多くても勝てる試合があって、そんなの計算できるものではないですからね。

──では、ソフトバンクの強力打線と強固な守備陣をバックに投げるアドバンテージについて、どうとらえていますか。

武田 そこを考えると、もっと勝たないといけないというのはありますよね。このチームで、(9月27日時点で)13勝していますけど、もっと勝てたんじゃないか、勝てたはずだと思います。そういうところを突き詰めていって、さらにレベルアップしたいと思います。

リーグ優勝を決めた9月17日の西武戦で7回1失点の好投。ローテーション投手としての準備をし尽くしての登板だった



ローテーション投手としてVの可能性がある日に単身帰福


 リーグ優勝が決まる前日、9月16日のオリックス戦は京セラドーム(大阪)で行われた。この試合前の時点で優勝マジックは「2」。ソフトバンクが勝利し、同日、日本ハムロッテに敗れれば優勝が決定する状況にあった。しかし、その試合前練習が終了すると、武田は「帰ります」と言葉を残し、帰福。次の日に先発することが決まっていたとはいえ、優勝が決まる可能性がある日に、チームと行動を別にした。その真意を聞いた。

──優勝マジックを「1」として迎えた9月17日のオリックス戦に挑む気持ちはどのようなものでしたか・・・

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