初の「世界一」が合言葉だった高校日本代表だったが、屈辱の5位に終わっている。「第29回WBSC U-18ワールドカップ」は8月30日から9月8日まで韓国・機張で行われた。新たな試みとして行われたチーム強化の背景と成果、メンバー選考、そして大会におけるマネジメントを含めた課題を検証していく。 取材・文=岡本朋祐 写真=高原由佳 
韓国とのスーパーラウンド第2戦。守りのミスが響き、延長10回タイブレークの末に敗退[4対5]したのが痛恨の1敗。大観衆の甲子園を経験しているとはいえ、地元の大応援にのみこまれる選手もいた
日の丸を背負うのはやはり、重い。昨年のU-18アジア選手権(宮崎)に続いて侍ジャパンU-18代表を率いた永田裕治監督は報徳学園高(兵庫)で選手、監督で甲子園優勝を経験している。高校日本代表としても2004年、渡辺元智監督(横浜高前監督)の指揮の下、第21回AAA世界選手権(現在のU-18W杯の旧名)ではコーチを歴任した。百戦錬磨の指揮官でさえも、冷静さを保つことができなかった。
「まだ、試合は残っている」
オーストラリアとのスーパーラウンド最終戦における、敗退直後のテレビインタビューだ。この1敗で日本の決勝進出はおろか、3位決定戦の可能性も消滅した。一夜が明けた共同取材で「レギュレーション(大会規約)を理解していなかったのでは?」との質問に「僕の中で、頭の中で混乱していた」と弁明。チームを束ねる監督の“心”の焦りが、選手へ伝染していたのかもしれない。
すべては前夜の大一番・韓国戦でのサヨナラ負けにより、日本の“行方”は決まっていたと言っていい。
自滅。守りの破綻である。伏線はあった。チャイニーズ・タイペイとのオープニングラウンド。1対1で迎えた5回裏、2つの失策でピンチを広げ2点の勝ち越しを許し、そのまま雨天
コールドで敗退を喫した。
試合後のミーティングで“喝”が入った。ミスに怒ったのではない。取り組み方、姿勢である。侍ジャパンのユニフォームを着る自覚、全国約15万人の球児の代表として戦う責任感を再度、確認し合った。
しかし、急造チームだけに、一度狂った歯車を・・・
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