シーズンも残り10試合を切り、最終盤を迎えたが激しい優勝争いを繰り広げるソフトバンクと西武。両者の直接対決が9月11日からメットライフドームで行われた。激闘になった今季最後の一騎打ちをリポートする。 取材・文=氏原英明、写真=内田孝治 
9月11日の初戦に負け、西武に首位に立たれたソフトバンクだが、翌日はエース・千賀が8回1失点の好投で首位を奪い返した
重要な意味があった高橋礼との対戦
9月12日、パ・リーグ天王山第2戦(メットライフ)の9回裏、3対1から
中村剛也がソロ本塁打を放った瞬間、昨季のあの日がフラッシュバックした。
1年前のクライマックスシリーズ(CS)。西武は圧倒的な打棒でペナントを制しながら、ファイナルステージでソフトバンクに完膚(かんぷ)なきまでにやられた。その終戦を迎えた第5戦(メットライフ)、先発の
高橋礼の前に打撃の勢いを削がれているうちに、投手陣が崩れて敗色濃厚。9回を迎え2点差がついていた中、中村剛也がアーチをかけたのである。
プラスにとらえれば一矢報いる一発ではあったが、それまでのシリーズの展開を鑑(かんが)みると、点差は1点であっても両者の実力差は目に見えないところで大きく感じるものだった。
およそ1年を経て起きたあの日と同じ光景に、この本塁打が意味するものを考えずにはいられなかった。
9月11、12日。首位・ソフトバンクと2位・西武による天王山2連戦は、両者にゲーム差が0.5しかなかったこと、また直接対決が最後になることもあって、両者の力の差を測る絶好の機会といえた。首位攻防戦という意味に加えて、この2連戦はシーズンのクライマックスを占う意味でも重要なポイントだった。
そんな2連戦に、ソフトバンクは高橋礼と
千賀滉大を先発に立てると事前に表明。千賀は133球を投げてノーヒッターを達成してから中5日の登板だったが、「今年のウチを支えてきた2人だから」と
工藤公康監督は勝負手を打ってきた。
1戦目の先発・高橋礼は、今季、西武戦4勝1敗の好成績をマーク。昨季のCSファイナルの最終戦の先発を任された投手だ。当時はルーキーだったが、登板後には「パ・リーグで一番打つチームを抑えられたことは自信になりました。日本シリーズ、そして来年につなげていきたい」と口にしたほどで、その勢いをそのまま今季につなげて11勝を挙げていた。
昨季が起点となった苦手意識が西武側にあるわけではないが、中村を除く多くの打者の対戦成績が悪く、このタイミングでの高橋礼との対戦には重要な・・・
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