現役時代、“くせ者”と呼ばれていた男が球界復帰し、3年目のシーズンを迎える。3度目の指揮となった原辰徳監督の下、昨季よりヘッドコーチに昇進し、全体に目を配る立場に。課されたミッションは、日本一奪回で強い巨人を取り戻すこと。若い選手たちに繰り返し説いているのは、勝負の厳しさである。 取材・構成=坂本匠 写真=小山真司、榎本郁也 
厳しい表情で打撃練習を見守る元木大介ヘッドコーチ
チーム一丸を評価
まだ、誤解があるのかもしれない。現役引退後、バラエティー番組で活躍する当時の印象から、タレントとしての元木大介を強く連想するジャイアンツファンは少なくないが、ひとたびグラウンドに足を踏み入れれば、もう1人の元木大介(現在の役職はヘッドコーチ)が姿を見せる。勝負の世界の厳しさを知り、そしてその厳しさを選手たちにウソ偽りなく伝え、ともにレベルアップを目指す野球人としての姿だ。サービス精神旺盛な性格ゆえに、
宮本和知投手チーフコーチとともに、球団公式You Tubeチャンネルでは軽妙なトークで選手をいじり、視聴数アップにも貢献するが、こちらはあくまでもタレント寄りの一面。キャンプ中は最後までグラウンドに残り、笑顔で指導を行う姿があった(「どうせやるなら『楽しく、厳しく』がモットー」だそう)。
2019年、原辰徳監督が3たびチームを率いることとなった際に、内野守備兼打撃コーチとして14年ぶりの現場復帰。翌20年にヘッドコーチに昇格した際、指揮官はその理由を次のように述べている。「(元木コーチは)素晴らしい統率力、洞察力を持っています。野球の技術に対する見識、知識、戦略眼といったものも十分でしょう。(19年の)1年間、ユニフォームを着てともに戦い、さらに良い指導者になるという確信がありました」。実際、チームは19年からリーグを連覇。原監督─元木ヘッド体制2年目は、セ3連覇はもちろん、12年より遠ざかる日本一がターゲットに。元木ヘッドに課されたテーマは、チーム全体のマネジメントはもちろん、主力選手たちを脅かす新たな力の見極めと成長である。
◎
19年、5年ぶりにセ・リーグのタイトルを取り戻した際、当時は打撃部門を担当していた元木コーチのチーム評価は辛口だった。
「確かに優勝をすることはできましたが、例えば・・・
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