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長嶋茂雄再録インタビュー

<長嶋茂雄再録インタビュー>【1992年】第二次政権の抱負 たぎる情熱を激白!

 

選手、監督として数々の栄光を残した「ミスタープロ野球」。今週からはユニフォームを着ていた当時の小誌取材と記事を再録する。今回は1992年秋、巨人の監督として80年以来の現場復帰となった就任インタビューだ。(1992年週刊ベースボール11月30日号掲載)

第一次政権は引退翌年の1975年から指揮。76、77年とリーグ連覇も、以降3年間はペナントに届かず80年限りで退任。充電期間を経て、12年ぶりの復帰となった


 12年ぶりの古巣へのカムバック! 巨人・長嶋茂雄監督が、再建へ向けていよいよ本格始動した。11月5日から行われている秋季宮崎キャンプでは、その厳しい指導から故障者が続出。しかし、長嶋監督は手綱を緩めようとはしない。何がここまでミスター・ベースボールを駆り立てるのか。情熱的な言葉を直接、聞いてみた。(聞き手・本誌/池田哲雄)

野球の基本は走力! そこから醍醐味が生まれる!


――まず掲げたテーマが「闘争心と、スピードのある野球」。秋季キャンプで早速、その課題を実行に移したわけですが、成果はいかがですか。

長嶋 最初は選手たちも戸惑ったんじゃないですか。スピードと闘争本能をもっと前面に押して、しかもチーム全体がそういう集団にならなきゃいけないと、僕は言い切ったわけですからね。しかし、そういう攻撃的なテーマというのは、バッティングでただガンガン打ちまくるというものじゃない。僕の目指すものは、守っていてもそういう姿勢で取り組む。走塁、スライディングにおいてもアグレッシブな選手を養成できなければ、巨人軍はこれからどんどんほかのチームに置いていかれますよ。

 もちろん、これは目新しいことじゃなくて、冷静に見ればごく基本的なことなんですね。それが選手の目にはいささか刺激的に映ったかもしれませんね。

――長嶋さんは常々「勝負とはきれいにできるものじゃない。ただきれいなフォームで打てばいいというのなら、誰でも4割や5割を打ててしまう。勝負とはあてがあるものだから、そんな甘いものじゃない」とおっしゃっていました。まさに、その忘れかけていた勝負の基本をもう一度、見つめ直そうということです。

長嶋 まったくそのとおりです。僕のそういう基本的な精神はまったく変わっていませんし、これからも変えないでしょうね。もちろん、(投手、打者でも)フォームというのは、練習段階においては非常に、部分的には軽視してはいけないと思いますよ。しかし、それが完成したあと、すぐに20勝、3割5分という好結果が出るかというと、そういうものじゃない。ですから、ウチの選手の場合、今言ったような優等生的な考え方で、ここ数年やってきたと思う。形がすべてではなく、もっとほかのプラスアルファによって勝負の結果が出てくるというね。そういう要素が出てくるようにと、結果が出てくるようにわれわれも新しいプログラムを与えていきたいと思います。野球というものには、こういういう切り口もあるんだなと。それがチーム全体の意識改革につながるんじゃないですか。

――積極的な走塁練習など、新メニューを取り入れていましたが、今後、意識改革につながるようなトレーニングとしては何を考えていますか。

長嶋 スポーツの基本は、足から。これは昔から終始一貫して、僕の自論なんです。打撃がスランプのときに、特守をやらせてみたりね(笑)。その守備練習から、打撃のリズム勘を取り戻す。これはもう、僕が現役時代からやっていたことです。そういうところから、攻撃的な要素が芽生えてくるんです。今もキャンプを見ていて分かるように、こういうプログラムを推進していけば、スピード勘とパワーが養成される。そうすれば、野球の醍醐味がさらに出てくると思うんですよ。そういう理想を持って野球を見続けてきました(笑)。

今の若者は褒めて鍛えなければつぶれてしまう!


――宮崎キャンプの第1クール終了時に、ケガ人が続出しました。そのとき監督が「予想したよりも少ない」と記者会見で語られたわけですが、これを東京残留組の選手たちが聞いたら「これは厳しいぞ。来年のキャンプまで、よほどしっかりやっておかなければ」と自覚したはずです。そういう意味でも、今回の秋季キャンプは意義深かったですね。

長嶋 そうですか。そういうふうに理解していただければうれしいですね。まあ、僕は今の選手たちをそれほど熟知しているわけではありませんが、今まで解説者、あるいは少年野球を見てきて、今の若者というのは、とにかくやらせてみるのも大事ですが、しかも自分でそれができる範囲だったら、実際にやって見せるのも必要なんですね。そして、気付いたことがあれば、すぐに注意する。特にファームの選手には、われわれは分かっていても、その場でどんどん注意してやったほうがいい。そしてどんなことでもいいから、褒めてやることも大事だと思いますね。例えば元気があったのが良かったとか、走塁のスライディングが良かったとか。もちろん野球選手としての物足りなさは十分わかりますよ。それでも、どこかにいいところがある。その光る部分にスポットを当ててやらないと、いけない。

――そういう点でも、今の若者気質は以前と比べたら、ずいぶん違っているでしょうね。

長嶋 伊東でキャンプをやった13年前とは全然、違いますよ(笑)。あのときは絶対に褒めてやりませんでした。褒めたくても意図的に何も言いませんでしたからね。そのあたりが今とはちょっと違うところでしょうね。量的にも精神的にも今、ああいう突き放すやり方をしたら誰もついて来られないでしょうね。今は教えながら、野球の楽しさも教えてやる。どこか逃げ道を与えてやらないといけないね。またその一方では、80%から90%の過酷なプログラムを与える。100%じゃ行き詰まっちゃいますからね。今の選手にはそれに耐えられる強烈なスタミナと精神力はないですね。

元木にはキラリと光る素質と潜在能力がある!


――秋季キャンプに参加している若手について、お聞きしたいと思います。元木(元木大介)、吉岡(吉岡雄二)といった打者をずいぶん熱心に指導していましたが、彼らの可能性についてはどのように評価していますか。

長嶋 野手では元木、大森(大森剛)。投手では谷口(谷口功一)。谷口なんてまだ一年坊主なのに・・・

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