週刊ベースボールONLINE

連続写真に見るプロのテクニック

【連続写真】広島・鈴木誠也「トップを早く作れて、自分の間合いで待っていられる。ラインにバットを出していくだけでムダのないフォーム」

 

毎シーズン恒例の広島鈴木誠也選手のフォーム解説です。今シーズンはチームが5位に沈んだこともあり、彼のパフォーマンスにスポットが当たりづらくて、大活躍の印象はありませんでしたが、それでも打率を3割(編集部注※5年連続は広島では山本浩二正田耕三前田智徳を抜いて球団新記録)に乗せ、25本塁打はリーグ5位、75打点は同7位と、軒並み上位の成績でした。120試合制を考えれば、数字的には十分なものだと思います。

【チェックポイント】[1]グリップの位置◎肩、胸、腰のラインが[3]、[6]と変わらない


【チェックポイント】[6]トップの位置◎


【チェックポイント】[8]左サイドのカベ◎ [10]ラインを合わせるのがうまい




【ポイント】シンプル+腕っぷし


 今季は無冠で突出した成績はなかったものの、シンプルでムダのないフォームが染みついていますので、安定感は抜群です。5年連続3割はとても素晴らしい結果で、球団新記録のようですね。腕っぷしの強い選手で、反動を使わなくても打球が飛ぶことを理解しています。自分を知っていることはプレーヤーとしてとても大きな強みで、「シンプル+腕っぷし」が鈴木選手の安定した好成績を生み出していると言えるでしょう。

 今回の写真は、インコースの厳しいボールを左翼席に叩き込んだものです。特徴的なのが写真[7]〜写真[16]で、腰を回転させてバットを出していくのではなく、先にバットを出して、あとから回転しているのが分かると思います。ボールを飛ばそうとすると、下半身がリードして腰を回転し、上半身がついてきてボールをとらえる、という流れが一般的ですが、鈴木選手はこれとは異なります。意識の中で、まずはとらえること、バットを出すことがあるのでしょう。とらえてから回転で、十分に間に合うという経験、染みついた体の使い方があるのだと思います。これは一朝一夕で手に入れられる技術ではありません。この一連の写真に、鈴木選手のレベルの高さが表れています。

 また、インコースのボールに対してはどうしても体が開いてしまうものですが、鈴木選手は写真[7]〜写真[9]のように左サイドにカベを作って、バットを出していくので、一切開くことがありません。良い意味で、ただそこ(ポイント)にバットを出していくだけ。写真[10]でミートしてからの力の伝え方がうまく、上半身、腕っぷし、リストの強さで打球をスタンドまで運んでしまいます。もちろん、ミートしてから最後に腰も回転しているのですが、写真では分からないくらいの利かせ方ですよね。

 写真[1]の構えから足を上げた写真[3]でも、いわゆるトップと言われる写真[5]でも、ミート直前の写真[9]でも、まさにボールをとらえた写真[10]でも片、胸、腰のラインが平行であることも特徴で、よりシンプルに見えます。構えたところからトップの際のグリップ位置もほぼ変わらず、軽く引く程度で、このトップを早く作れて、自分の間合いで待っていられるところもポイントで、そこからラインにバットを出していくだけ。ヒッチもコックもなく、どこを切り取ってもムダやロスがありません。理想的なフォームですね。(フォーム解説=柴原洋)

PROFILE
すずき・せいや●1994年8月18日生まれ。東京都出身。右投右打。181cm98kg。外野手。二松学舎大付高からドラフト2位で2013年広島入団。15年から一軍に定着し、16年から5年連続で打率3割を記録。昨季は.335で首位打者と、.453で最高出塁のタイトルを獲得、侍ジャパンでも四番を打った。2020年の成績は118試合129安打25本塁打75打点6盗塁、率.300。
連続写真に見るプロのテクニック

連続写真に見るプロのテクニック

元プロの野球解説者が現役選手の打撃フォーム、投球フォームを連続写真をもとに解説。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング