今季もシーズン100安打に到達し、これでプロ2年目(当時ロッテ)の2013年から9シーズン連続の100安打は立派です。率はなかなか2割7分台まで戻ってきませんが、安打数はパ・リーグ7位と健闘しています。 
【チェックポイント】[1]軸足9:右足1 トップを意識したグリップ(前編)[4]軸足にパワーをためる

【チェックポイント】[9]しっかり踏み込み割れ◎トップの位置◎(前編)

【チェックポイント】[12]ポイントを前にしてさばく(前編)軸を中心に回転 ヒザの柔軟性◎[13]ミートゾーンが長くなるワークも長くとれる
【ポイント】シンプルなフォーム
前号(9月6日号)の続きです。まず出塁が頭にあって、ムダをそぎ落としたバランスの良い打撃フォームであること。バットコントロールが良いのはまずしっかりとトップを作る、その意識があるからで、余計な動きをしないことに鈴木選手の良さが表れていることを解説しました。
余計な動きをしない代わりにパワーがないかと言えば、そうではありません。例えば、写真[1]のスタートから少ない動きで右足を引いた写真[4]では軸足(右足)股関節にしっかりとパワーが蓄えられています。ここからゆっくりと、すり足で、写真[9]にかけてステップしていきますが、すり足でも踏み込みはしっかりしています。この間、蓄えたパワーが逃げることがないのも良いと思います。
この打席では低めに落ちていく変化球をとらえてライト方向への二塁打にしていますが、踏み込んだ側の足(右足)のヒザに柔軟性があるので、逃げ落ちていくボールにしっかりと対応ができますし、また、このヒザの柔軟性があるおかげで、軸足側でためたパワーを踏み込んだ際に逃さずに受け止めて、体の回転につなげていくことができるのです。
ヒザの柔軟性があると、前さばきが良くなるのですが、ミートゾーンが長く、広くなり、ボールをポイントでとらえてからのワーク(フォロースルー)も長くとることができます。鈴木選手もインパクトの直前の写真[12]〜写真[16]までの一連の動きにワークの長さが表れています。このような選手は率が残るのですが、鈴木選手はシーズン3割こそないものの、昨季は.295で生涯打率も2割7分5厘を超えています。
スタート時は後ろにあった軸も、ステップに合わせて適度に前に移動しており、写真[10]〜写真[13]のように回転時の軸もしっかりしていますね。前述のように、低めに逃げていくボールをさばいているので、写真[14]以降は前に出されますが、これはインパクト後なので何の問題もありません。むしろ、対応としてはインパクト後に強引にバットを返していくのではなく、押し出していく形で、正解。これはこれで飛距離が出ます。非常にうまいバッティングと言えると思います。
早い段階からトップを作って大きな動きをせず、ポイントに対してシンプルにバットを出していくだけ。スタートで軸を後ろに作っていますが、しっかりと踏み込んでいき、そこから回転する。単純なことかもしれませんが、それができているのが鈴木選手の長所です。今回は低めへの対応でしたが、高めでも、外でも、内でも対応は変わりません。(フォーム解説=
柴原洋)
PROFILE 鈴木大地/すずき・だいち●1989年8月18日生まれ。静岡県出身。右投左打。175cm79kg。内野手。桐蔭学園高から東洋大を経て、2012年ドラフト3位でロッテ入団。ベストナイン3回、ゴールデン・グラブ賞2回の巧打名手のベテランで、20年にFAで
楽天へ移籍。内野ならどこでも守れ、しぶとい打撃で中心を担う。今季の成績は96試合100安打6本塁打38打点3盗塁、打率.267(8月25日現在)。