今季から木材の違う2本のバットを併用するも、こだわりは「振り抜きやすさ」だ。プロ入りから同じ形状のバットを愛用し、打席に立ち続けている。 取材・文=鶴田成秀、写真=太田裕史、BBM 振り抜きやすさ重視で木材の違う2本を愛用

木材はプロ入りから変わらず使用している『メイプル』[下]を使用。さらに今季は『青ダモ』[上]も併用し始めた
右へ、左へ、巧みに打ち分ける。巧みなバットコントロールを誇る
安達了一の存在は、チームに欠かせない。7月9日の
西武戦[西武プリンス]から同12日の
日本ハム戦[京セラドーム]まで4試合連続でマルチ安打をマーク。三番・
糸井嘉男、四番・
T-岡田の前を打つ二番打者として、ときにチャンスメーク、ときに決定打と、チームを勝利に導く一打を放っている。
だが、『バット』へのこだわりはないという。プロ入り前の上武大、東芝時代の6年間も木製バットを使用してきたが「大学、社会人のときって自分専用のバットをつくってくれるわけではなかったですから。だから、大事にしているのは(バットを)握ったときの感覚なんです。そして、振りやすいかどうか、なんですよ」と、大事にしているのは自らの“感覚”だ。だからこそ、プロ5年目になる今季も入団時からバットの形状は一切変更していない。
「長さは、83.5センチよりも少し長めで83.75センチくらい。バットとしては短めだと思います。重さも870〜890グラムと軽く、本当に振り抜きやすさを重視しているんです」
グリップエンドは、やや丸みを帯びたタイカッブ気味の形状で、指1、2本分余して握りやすくなっている。これもまた、自在にバットを操るためだ。ヘッドの重心もやや手元にある「ミドルバランス型」。主に一、二番を担いながらも、昨季はチーム3位の11本塁打を放つなど、パンチ力も持ち併せる安達の打撃スタイルにマッチしている。

グリップエンドは、やや丸みを帯びたタイカッブ気味の形状。一握り余して握りやすくしているのも、「扱いやすさ」を重視しているからこそ
プロ入りから変えることのないバットの形状だが、今季から新たに採り入れた点が2つある。1つは、カラーリングだ。「気分転換という意味もあり今年はオレンジにしました」。2つ目は木材。プロ入りから一貫して使用してきた硬い材質の『メイプル材』に加えて、今季から柔らかい材質の『青ダモ』を併用し始めた。
「『これ』という理由はなくて、何となく使ってみようかな、と。(木材の)硬さが違うと、打ったときの感覚も変わるので、そこで分かることもあると思ったので」
ただ、『青ダモ』は今季の序盤に使用して以降は、使用しない試合がほとんど。現在は、慣れ親しんだ『メイプル材』で、打席に立ち続けている。
研ぎ澄まされたプロの打者の“感覚”。多球種への対応を必要とされ、瞬時に反応をすることが求められるからこそ、バットを選択するにあたって大事にしているのは、やはり「扱いやすさ」。その感覚に大きな変化がない限り、安達のバットもモデルチェンジされることはないだろう。
PROFILE あだち・りょういち●1988年1月7日生まれ。178cm78kg。右投右打。群馬県出身/榛名高-上武大-東芝-
オリックス12年1位=5年