現在のプロ野球に、これだけ長打力と走力を両立させる存在は希有だ。
松田宣浩はプロ7年目の今季、俊足ぞろいのチームにあってトップ(リーグ2位タイ)の7三塁打をマークした。「フェン直(フェンス直撃)が多いんですよ」と、本塁打に嫌われ続けたことを自虐的に笑うが、三塁打の確率が傑出している。
本塁打率は「打数÷本塁打数」で、1本塁打に要する打数を示す指標。仮に「三塁打率」があるなら、今季の松田は51.43となる。8本でリーグトップの
西武・秋山が50.38、7本でセ・リーグトップの
DeNA・荒波が72.00。松田の数字はそん色ない上に、両リーグ上位10傑を見渡せば俊足巧打タイプがほとんど。「俊足強打」の松田の特殊性が分かるだろう。
そもそも右手甲骨折で出場95試合にとどまりながら、三塁打の両リーグトップを争ったという事実が大きい。巨漢でもないが、痩身でもない体重85キロ。これが秘けつだという。「重くなり過ぎるとキレが出ないのは当然ですけど、軽くなり過ぎてもスピードが乗ってこない」と、自身の重みを加速度に変えるスタイルだ。日本一に輝いた昨季はチームトップの25本塁打とともに、同3位の27盗塁。これも体重維持を貫いての結果だ。
打席から前方へ飛び出すような独特の打撃スタイル。統一球が使用される中でも、打球の飛距離は日本人離れしている。体調万全ならば、西武・中村と本塁打王を争える可能性のある数少ない存在だ。
それでも「打って、走って、守って、プラス声の元気」と自身の持ち味をアピールする29歳。オールラウンドな「突然変異種」は、侍ジャパンの一員としても活躍が期待される。