いぶし銀という表現がピッタリはまる。29歳の
小窪哲也は今季、さりげなく、それでいて力強くチームを支え続けた。
首脳陣の厚い信頼を示す場面があった。9月9日の
中日戦(マツダ
広島)。同点で迎えた延長10回裏一死二塁、マウンドには守護神の右腕・福谷がいた。野村監督が左打者を代打に送ろうとしたそのとき、新井打撃コーチが「こういう場面は小窪でしょう」と進言したという。
右投手を苦にせず、この時点でシーズン代打成績が30打数12安打の打率.400、1本塁打、15打点だった。結果は左前打。二番・菊池のサヨナラ打をアシストし、「球が速いピッチャー。とにかく力を抜いていこうと。外野も前に出ていたし、とにかくつなごうと思っていた」と事もなげに振り返った。
今季は78試合出場で打率.317、3本塁打、30打点でフィニッシュ。左投手相手に打率.304、右投手には打率.339と左右を問わない安定感が頼もしかった。得点圏打率も.318と勝負強く、中でも7月2日の
巨人戦(マツダ広島)で決勝犠飛を放つなど、王者との戦いで存在感が際立った。今季、巨人戦の通算成績は打率.385、1本塁打、5打点だ。
限られた出場機会にも言い訳をせず、結果を残し続けた。「昔は、ここで打てば明日も試合に出られるんじゃないか、とか考えちゃっていたんですよ。そういうムダな気持ちというか邪念があると、打席でも集中力が欠けてしまうんですよね」。欲をぬぐい去ることで生き残る道を選び、チームに欠かせないパーツとなった。カープ旋風を巻き起こした2014年、小窪の貢献度の高さは誰もが認めるところだ。