日本一に輝いた
ソフトバンクをギリギリまで追い詰めた戦いで、ジョーカーになったのは20歳右腕、
大谷翔平だった。10月19日、ヤフオクドーム。クライマックスシリーズのファイナルステージの第5戦のマウンドに上った。相手のアドバンテージの1勝を含め2勝3敗。敗れれば敗退というあとがない大一番で先発登板した。前日に先発を予告されてはいたが、奇襲に近い起用だった。
栗山監督はポストシーズンの直前、同ステージは指名打者での起用に限定する構想を明かしていた。ところが、
オリックスとのファーストステージの第1戦(京セラドーム)で先発。指揮官は「状況次第」と、すでにプランを温めていた。ファイナルステージの第5戦までいけば王手をかけているか、それとも崖っぷちの逆か――。いずれにしても大勝負になる。そこで大谷を抜てきする戦略だった。
2回に4点の先制を許したが、それ以降は立ち直り、12三振と圧倒的な力でねじ伏せた。打線も粘投に応え、終盤に驚異の粘りを見せる。7回に3点を奪い、8回には中田が同点ソロ。延長11回に中島が決勝の2点打を放ち、3勝3敗に持ち込んだ。大谷を中心に組み立てたプランが的中し、主力打者の躍動と最高のシナリオだった。
最終第6戦で敗れはしたが、来季以降に目指す一丸の野球を体現した。大谷も「1本ヒットを打ってくれと思っていました。逆転してくれて助かりました」と感謝し、一体感という強みを心に焼き付けた。大谷を軸に先発陣を組み立て、若手主体のレギュラー野手を固定する。直近の明るい未来が見えるような価値ある一戦になった。CSを最高に盛り上げた大谷の来季が、楽しみになった。