両打ちの背番号10は確かな自信を手に入れつつある
もはや、欠かせない男だ。プロ7年目。
加藤翔平は待望の定位置をつかみ取ろうとしている。
「一番、大きかったのは開幕戦の第1打席ですね。
楽天・岸(
岸孝之)さんのカーブを狙って打てた。あそこから流れに乗ることができたと思っています」
オープン戦は11試合に出場し、打率.406、1本塁打、3打点、4盗塁。その実績から「二番・右翼」で開幕スタメンに起用された。3月29日の楽天戦(ZOZOマリン)の初回一死、巡ってきた今季初打席で加藤は意外な球をボールに入れていた。カーブだ。それも球界トップの精度とキレのある岸のカウント球をあえて狙った。
打ち損じが生じやすいために早いカウントで投げてくる。手を出して、仕留めることができなければチームも自分も流れを手放すかもしれない危険はあったが、狙い撃つことができればその後、優位に試合を展開できる。加藤は2球目のカーブを右翼席へ、チーム1号となる先制ソロを放った。
「これまでは代打で1打席の出場とかが多く、どうしても狙いを絞り切れなかった。今は、4打席はあるので、トータルで考えられる」。実は昨季も開幕7試合でスタメンに名を連ねたが、打率.188で控えに回った。今季はスコアラーと入念にミーティングを重ね、打席へ入るまでに迷いをなくしたことで思い切りが出た。
安打が止まった時期もあったが、好スタートを切ったことに違いはない。つかんだ自信が、埋もれていた才能を花開かせようとしている。
写真=BBM