1試合を通してグラウンドで躍動する姿をファンは心待ちにしている
少しずつでも、輝きを取り戻してきた意味は大きい。新球団として
DeNAが誕生した2012年にプロ入りし、主力選手の肩書きを背負って4年目。
桑原将志にようやく、光が差し込んできた。
筒香嘉智、
梶谷隆幸の両翼とともに、かつては盤石にしていた中堅の定位置。今季は同級生でもある
神里和毅の台頭によってそれを失い、難しい立場になってしまった。開幕一軍には滑り込んだものの、4月24日に出場選手登録を抹消。5月6日に再昇格を果たしても、なかなか出番に恵まれない日々が続いた。ここまで先発出場はわずか8試合。「少ないチャンスで結果を残さないといけない。1打席1打席を大事に……」と集中力を高く保ち、6月は14試合で打率.313と上昇カーブを描き始めた。
チームは交流戦を10勝7敗1分けと勝ち越し、最大11あった借金を一時は完済。2位・
広島にも0.5ゲーム差と接近。上位浮上へ欠かせないのが元気印の完全復調だ。一昨年は21試合で打率.389、6本塁打、14打点。昨年も20試合で打率.421、3本塁打、8打点と特に7月は打ちまくった。
左翼から筒香、神里、ソト。現時点でレギュラーの壁は厚い が、徐々に雰囲気は出てきた。6月19日の
日本ハム戦(横浜)では「二番・右翼」で2安打1打点。初回に左翼席へ架けた2号ソロは、その1週間前に亡くなった実母にささげる一発だった。巻き返しを誓う夏。頑張らなければいけない理由が背番号「1」にはある。
写真=井田新輔