
一軍のマウンドを目指してレベルアップに励む柿木
昨夏の甲子園優勝投手が壁にぶつかった。ドラフト5位ルーキー・
柿木蓮の前半戦はファームでもがき苦しんだ。「まったく思いどおりにできなかったです」。2月の春季キャンプから評判は上々だったが、シーズンが進むにつれて調子が落ちてしまった。「打者と戦わなければいけないのに自分と戦っていました」。
向上心がいつしか迷路に迷い込ませていた。イースタン・リーグでは3月16日の
巨人戦(ジャイアンツ)で初登板初勝利をマーク。幸先よくスタートを切ったが、その後は失点を重ねる登板も続いた。「考えれば考えるほど、マイナスの方に行っていた」。反省から修正を試みてもイメージに近づかない。気づけば、循環となって、できていたことも見失ってしまっていた。
5月からは浮上のきっかけをつかむため、先発から中継ぎに回った。短いイニングで腕をしっかり振ることを意識してマウンドに上がり続けることで気づいたことがあった。「攻める気持ちが必要だと。気持ちをボールに乗せる。そうすれば同じ真っすぐでも変わるはず。圧が違うはずなんです。それこそが自分です」。いつしかマイナス思考は次第に消えていった。
栗山英樹監督も「柿木は早い段階で(一軍で)いける素材」と期待する。もがいていた時間は、成長の糧となる。原点を見つめ直せた苦悩の前半戦を飛躍の土台として、一軍でプロ初勝利を挙げた同期であり、昨年夏の甲子園を共に沸かせた
吉田輝星に続きたい。
写真=BBM