
今季はケガに泣いたが、来季は体を万全にして正捕手獲りに挑む
うれしくもあり、悔しくもある。2019シーズンは、
岡田雅利にとって二面性を持つシーズンだった。
炭谷銀仁朗という長年にわたる正捕手がFA移籍で抜け、
森友哉が攻守とも見事に開花。その陰に、30歳捕手の存在は欠かせなかった。チームは今季、先発の柱が決まらず、開幕から投手陣が安定感を欠いた。リードに苦戦を強いられた森の相談に常に乗り、ともに悩み、試行錯誤してきたのが岡田だった。8月6日に負傷離脱しても、森からは頻繁に連絡がきて、その都度、話題のほとんどが野球で満たされた長電話の相手になった。そうした時間は、森にとってかけがえのない精神安定剤だったに違いない。
とはいえ、岡田も一人のプロ野球選手だ。同期入団で同じ捕手、しかも大阪桐蔭高の後輩が正捕手として足場を固めていく姿を間近で見ているのは心中穏やかであるはずがない。入団1年目から言い続けているが、「森を脅かす存在になる」。それが来季も一番の目標となる。
加えて、チーム防御率リーグワーストは捕手として絶対に看過できない。「この成績は投手だけの責任ではない。バッテリーでどういうふうに考えるかをもう1回、来季あらためて徹底したい」と表情は険しい。だが、一方で、「いずれまた『投手王国』と言われる日が来ると思う」と確信しているのも事実。
今井達也、
高橋光成、
松本航ら今季経験を積んだ若手をいかに大成に導けるか。自分なりのアプローチで、正捕手の座も虎視淡々と狙っていく。
写真=BBM