V奪還を狙う
広島に黄金ルーキーが加わった。森下暢仁は開幕前にも関わらず、「新人王」候補筆頭の呼び声が高い。3月8日の
西武とのオープン戦(マツダ広島)では、強力山賊打線を相手に8三振を奪うなど力を示し、5回3安打無失点と好投。新人ながら開幕ローテーション入りを決定づけた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンが3カ月遅れで開幕する。広島もチーム練習を5月下旬に再開。森下は約2カ月ぶりの打者との対戦となった5月23日の実戦形式の打撃投手を務めた際には最速149キロの直球を軸に、ブランクを全く感じさせない投球を披露。打者12人に対し安打性4本に封じ、3三振を奪った。「いい感じに自分の球を投げることができた。真っすぐでファウルを打たせることができてよかった」と手応えを口にしていた。
身長180センチで体重76キロとプロ野球選手としてはまだまだ線は細い。しかし持ち前の柔軟性の高いしなやかなフォームから繰り出される最速150キロ超えの直球は威力抜群。コントロールも安定感があり、大崩れすることはない。変化球はカットボール、カーブ、チェンジアップを操り、特に縦に曲がるカーブが特徴で、オープン戦、練習試合でも一線級の打者を相手に堂々立ち向かった。
全体練習が行えず、休日を挟みながらの分離練習が続いた中でも、コンディションの維持に努めてきた。「練習も自分のペースでやらせてもらえた。シーズン中の疲れたときにいい状況が続くわけではない。ケアとかしっかり意識して、パフォーマンスを上げていきたい」。5月30日の紅白戦でも3回を1安打無失点。昨秋のドラフト会議で広島に1位指名された当日から目標に「新人王」を掲げた右腕。注目の即戦力右腕がいよいよベールを脱ぐ。
写真=BBM