高卒2年目の昨季、田中法彦は将来性を感じさせるポテンシャルの高さを示した。ウエスタン・リーグでは主に抑えとして25試合に登板。1勝1敗12セーブ、防御率1.73と抜群の安定感をみせ、同リーグのセーブ王に輝いた。シーズン終盤には自身初の一軍に昇格し、登板2試合無失点と存在感をアピールした。
三重・菰野高からドラフト5位で2019年に入団した。1年目はウエスタン・リーグの登板は4試合にとどまったものの、昨季は大幅に出場機会を増やした。高校時代に記録した最速152キロの直球は鳴りを潜めるが、140キロ台の直球を軸に、多彩な変化球を操り、打者を手玉に取った。右腕は「球速はそんなに出てないですけど、直球で空振りが取れるようになったし、去年よりはキレも良くなっていると思います」と胸を張った。
変化球は19年までのカーブ、スライダー、チェンジアップに加え、昨季からカットボールと高校時代に投げていたスプリットを復活させた。投球の幅を広げることに成功し「変化球も増えて、全部でストライクが取れる。全球種でゾーンで勝負できている。そこが成長した部分かなと思います」と進化を実感する。
田中法は昨季について「二軍でもしっかり結果を残せて、一軍でも2試合投げられたので、自分的にはとても良いシーズンだった」と振り返った。
今季に向けては「1年間ずっと一軍にいて、しっかり戦力になれるように頑張っていきたい」と飛躍を誓った。将来的には「やるからには大事なところを任されるような、信頼される投手になりたい」。2年連続でBクラスに沈んだチームは、投手再建が急務とされる。3年目の田中法が、今季はチーム、そしてセ・リーグに旋風を巻き起こす。
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