自分のスイングを貫いて状態を上げた森
四国IL/徳島から2020年に入団。ドラフト8位にもかかわらず、新人合同自主トレのときからそのスイングの鋭さは他と一線を画しており、コーチからも称賛の声が上がっていた。それも当然だろう。
岸潤一郎は明徳義塾高の1年春から試合に出場し、同夏、2年夏、3年春夏と、4度の甲子園出場経験を持ち、“甲子園の申し子”と称されたほどの逸材。その後、トミー・ジョン手術など、ケガの影響もあって拓大を中退したが、18年に徳島で再び本格的に野球を始め、2年でプロ入りの夢を実現させた。もともと持っている素地が別格なのだ。
とはいえ、そのまま1年目から通用するほどプロの世界は甘いものではなかった。新人年の昨季は出場わずか5試合、与えられた3打席のチャンスの中でアピールすることはできなかった。一方でファームでは54試合に出場し打率.253、4本塁打、21打点とまずまずの成績を残す。これが評価され、今年の春季キャンプではA班に帯同、開幕も一軍で迎えた。
4月中旬から5月末まで二軍再調整となったが、コロナ特例で一軍に上がると、6月1日の
巨人戦(東京ドーム)でプロ初安打を初本塁打、初打点という最高の形で記録し、存在を示すことに成功。その日を機にスタメン出場を勝ち取り、現在もレギュラーの一角として大きくチームに貢献している。
現在5位と厳しい戦況が続く中、岸の台頭はチームの今季の収穫の一つ。自他ともに認める持ち味は「積極性」。これからも、攻守にわたり白球を必死に追いかける姿でファンの心をつかんでいく。
写真=BBM