
今季は5試合に出場して打率.250。少ないチャンスをものにしていきたい
ほろ苦い「デビュー」をかみしめた。3月25日の
広島戦(横浜)。
知野直人にとってはプロ4年目で初の開幕一軍、開幕スタメンだった。勝ち取ったのは「六番・一塁」。本職ではないポジションで2回、先頭・
松山竜平のゴロを後逸した。二塁へ進塁を許すなど、一死一、三塁のピンチから先制を含む3失点。4回は
末包昇大のファウルフライを捕球できなかった。
3対11の大敗発進。試合後はしばらくベンチで動けなかった。「使ったのは監督ですから。引きずらずに思い切ってやってほしい。いいものは持っているし、良くなってきていますから」。
三浦大輔監督はまったく責めることなく、気持ちの切り替えを促した。せめてもの意地は7点を追う7回。先頭で一塁にヘッドスライディングし、2得点のきっかけとなる三塁内野安打を放ってみせた。
BCL/新潟から2019年にドラフト6位で入団。昨年4月24日の
阪神戦(甲子園)でプロ初出場を果たした。初安打は1カ月後。途中出場した5月26日の
オリックス戦(横浜)で、
漆原大晟からプロ初本塁打を記録した。シーズンは36試合で打率.176にとどまったが、得点圏打率.429の勝負強さ。今季は正遊撃手候補の
森敬斗が故障離脱したこともあり「勝負の年。何としても(チャンスを)つかんでやるつもりです」と食らいついてきた。
2月の練習試合では6打席連続安打と注目を集めた。内野ならどこでも守れるユーティリティー選手で、だからこそ指揮官も大舞台で抜てきした。失敗は成長の糧。巻き返しの機会はまだまだ巡ってくる。
写真=榎本郁也