
研究熱心さと新たな出会いでプロ入り後、MAX156キロまで球速を上げた
見ていて気持ちがいい、きれいな、それでいて、えげつない真っすぐだ。
北山亘基が投げる直球は、魅力いっぱいだ。自己最速156キロをマークしたのは3月3日のオープン戦。8回にマウンドに上がると、昨季日本一の
ヤクルト打線から三者連続三振。ストレートで奪った2三振の1人は、
ドミンゴ・サンタナだ。札幌ドーム初登板で、大きな衝撃を与えた。
愚直に「どうすればもっといいボールが投げられるか」を追いかけてきた。特に京産大時代から、投球を科学的見地から追及。「体やコンディションはより一層こだわりを持つようになり、取り組んできました」。肉体のメカニズムから投球動作の細部に至るまで勉強を重ねた。ベストパフォーマンスから逆算して、寝るときの姿勢から律してきたほどだ。
そんな蓄積された飛躍へのエネルギーは、想像以上だった。2月の春季キャンプは、第1クールだけで二軍を“卒業”。球質の良さを評価されて一軍へ昇格すると、BIGBOSSが呼んだ臨時コーチの指導が、成長の刺激となった。「室伏(広治スポーツ庁)長官や武井壮さん、トレーナーの方々に教えてもらった体の使い方などがプラスになることがたくさんあった」。
プロ入り後に自己最速を更新できない投手も多い中で、北山は大学時代から3キロもアップした。「教授」と呼ばれる研究熱心さと新たな出会いがポテンシャルを一気に開花させた。球団66年ぶり2人目の新人開幕投手抜てきから始まった前半戦。酸いも甘いも味わったところに成長への大きな余白を感じる。ドラ8右腕は己の道を、真っすぐ突き進む。
写真=BBM