
節目のシーズンに向けて、九里の気合は十分だ
最多勝のタイトルホルダーとして臨んだ今季は、前年の白星(13勝)の半分にも満たない6勝にとどまり、9敗は自己ワーストタイだった。不振で中継ぎへの配置転換も経験。3年総額6億5000万円(金額は推定)という大型契約の1年目を、
九里亜蓮は「不甲斐ないというか、悔しい。チームを勝ちに導く投球ができた試合がすごく少なかった」と振り返った。
121奪三振はキャリアハイも53四球は同ワースト。球数がかさんだことでイニングをこなすこともできず、規定投球回にも2回2/3届かなかった。「同じことをしていたら、来年もいい成績を残せないとすごく感じた。すべてにおいて変えないといけないと思う」。言葉の端々に雪辱への強い決意をにじませた。
変革への第一歩は、新型コロナ禍前の2019年以来、3年ぶりのアメリカ自主トレだ。今月下旬から約1カ月間、エンゼルスの
大谷翔平も使うアリゾナ州の施設「ドライブライン・ベースボール」でトレーニングに励む。最先端の機器を使った動作解析が主な目的。「全部フォームが変わってもいいぐらいの気持ち。来年、見てもらったときに『何か変わったかな?』じゃなく『変わったな』と思われるように自分自身を追い込む」。キャリアの中でも来季が大きな分岐点になると考えている。
来季はプロ入り10年目の節目。自身初の開幕投手という明確な目標も胸に抱く。「先発をしている以上、立ってみたいマウンド。来年はプロ野球人生の中で一番いい成績を残せるように」。そう話す背番号11の表情には、気合いがみなぎっていた。
写真=BBM