正直、これほど早くマウンドで躍動する姿を誰が想像しただろう。国指定の難病「黄色靱帯骨化症」の手術を受けた福敬登が、対左の切り札として活躍している。
異変は昨年9月に始まった。左足に感じたしびれ。「うまく力が入らない感じがしていました」。それでも球速は140キロ台後半が出て登板も重ねていた。
「良い場面で投げて緊張しているのかな」。病気だとは思いもしなかった。それが中旬になると、登板自体にも影響が出始めて「感覚がなくなっていった」
立浪和義監督に症状を打ち明け、登録抹消に。その後、病院を3つ周り、病名が確定した。
「同じ症状に苦しむ人を勇気づけるためにも公表することに決めました。ふがいないシーズンだったけど、それが病気のせいだったとは言いたくない。不安はもちろんあります。でも来季以降、また自分の力で一軍のマウンドに立てるように、リハビリを頑張っていきたい」
10月下旬に手術を受け、その後はリハビリの日々。春季キャンプは二軍で調整し、シート打撃に登板するまで回復。二軍での登板を経て5月5日の
巨人戦(バンテリン)で1点を追う8回に復帰登板を果たした。
「見慣れた光景だと思っていたけど、名前がアナウンスされて登場曲が流れたときは、パッと鳥肌が立つような思いだった」
五番・
丸佳浩から始まる巨人打線を1回1安打、無失点に抑えた。すると打線も福の復帰を祝福するかのように直後に打線が爆発。勝利投手になった。その後もタフな終盤でチームのピンチを何度も救った。
6月下旬、左足に違和感を覚え、登録抹消となった。早い復帰が待たれるものの、無理は禁物。期限は決めず、しっかりと治したい。
写真=BBM