
試合ではもちろん、出ていないときも自らの役割を見つけてベストを尽くす
日本球界1年目の
加藤豪将は、昨秋の入団会見でアピールポイントを、次のように語っていた。「マイナーで鍛えられたこと。根性、メンタル、考える力。ずっとユーティリティーをやっていたので」。米球界では10年目の昨季、メジャーデビューした。積み重ねたマイナーでの経験値が唯一無二の武器である。
守備位置は投手以外はすべて守ったり練習をしたことがあるという。ただ、加藤豪が捉える「ユーティリティープレーヤー」は奥深い。
「結構みんな、いろんなポジションでプレーするってことがユーティリティーだと思っているんですけど、それだけではなく打順やロースターの1番目の選手から26番目の選手みんなに違う役割がある。自分は全部経験している。もう怖いものはないので、そういうところもアピールポイントになると思います」
今季は故障で出遅れたが、5月下旬に一軍昇格を果たすとデビュー戦から10試合連続安打をマーク。7月の大型連敗中には必勝だるまを持ち込むなどムードメーカー役も担い、ヒーローインタビューなどで発信する言葉の数々は野球ファンを魅了する。すべてをひっくるめて新庄監督も「ちょっとほかの選手と違うオーラがありますよね」と一目置く。
試合に出ていなくてもベンチ内で役割を見つけ、試合に勝つための準備だったり、サポートをする。どんな立場でもベストを尽くし、苦境でも折れない不屈の精神でメジャーにたどり着くまでに「ユーティリティー」の真意を学んで体現するようになったのが、加藤豪なのだ。
写真=BBM