
Honda熊本・岡野監督[33]はHondaとの決勝で1点差で惜敗し、悔しさをにじませる。この悔しさは、都市対抗予選に生かす/写真=佐藤博之
「兄弟対決」で得た頂上決戦の収穫と課題
「今大会は本気で『優勝できる』という気持ちで戦っていました。今日の準決勝、決勝も負けるなんて思ってもいませんでしたし、リードされてもすぐに追いつけると感じていました。選手たちはよくやってくれたので、それだけに優勝を味わわせてやりたかったです」。JABAスポニチ大会で準優勝に終わり、敗戦の弁を述べるホンダ熊本の岡野武志監督(日大)。その目にはうっすらと涙がにじんでいるようにも見えた。
昨夏は都市対抗野球で6年ぶりに勝利を挙げ、今季は自信を持ってシーズンインしたホンダ熊本。「2月に鹿児島県の徳之島でキャンプをしたのですが、そこで24時間、野球に向き合ってきました。ただ捕って投げるだけじゃなく、数をこなす中で一つひとつのプレーに対し、とことん精度を追求することで本当に『野球だけをやり切れた』と感じられるキャンプができたんです」。
その後も順調にチーム作りは進み「オープン戦ではみんなのたくましくなった姿を見ることができ、選手にも『今季は手応えがある』という話をしました」という充実ぶりだった。
「格上のチームと戦うのではなく、むしろ『自分たちのほうが上なんだ』という気持ちを持って臨んだ」というJABAスポニチ大会では、エース・
荒西祐大(玉名工高)が好投。初戦の日立製作所戦は3安打1失点、中1日での日本製紙石巻戦も「マウンドに立たせてもらっている以上は最少失点に抑えようと思った」(荒西投手)と12奪三振で1失点と2試合連続完投勝利を挙げた。これには岡野監督も「期待どおりの投球でさすがでした」と絶賛。また、今季、ホンダ鈴鹿から移籍で獲得した
片山雄貴(駒大)も2勝。「荒西に並ぶエース格として期待を込めて獲得したのですが、そのプレッシャーに押しつぶされることなく結果を出し続けてくれています」と、手元で曲がるカットボールやスライダーを武器に安定感のあるピッチングを見せた。
着実かつ確実にアップしたチーム力
一方で打線は「とにかく『強く低いゴロを打つ』というテーマで、スイングスピードを速くするトレーニングなどに取り組み、その成果が出た」と、JR東日本との予選リーグで4本塁打を記録。また、進塁打が多く、2アウトから粘って、得点を挙げるなど、相手にとっていやらしい攻撃が身についていた。
決勝では兄弟対決とも言えるホンダと対戦。「昨年のJABA岡山大会では準決勝で対戦して敗れていたので、ひと泡吹かせてやりたかった」と、終盤までリードを奪っていたが、この大会3試合目の登板で連投の疲れが見える荒西を降板させた8回、島袋圭亮(九州共立大)が四球をきっかけに逆転本塁打を浴び3対4で惜敗。「島袋には『先頭打者を四球で出してはいけない』と言ってきたのですが……。やはり荒西、片山に続く投手が出てこないと勝ち上がっていけないので、彼にはこの悔しさを糧にして次へつなげてほしい」と奮起を促した。だが、「決勝まで来られたのは実力をつけたから。この結果は自信にすべきだと思います」と、岡野監督。都市対抗で8強という目標を掲げているホンダ熊本は着実に、そして確実に力をつけている。(取材・文=大平明)