
高松商高は八戸学院光星高との明治神宮大会初戦[2回戦]を制し4強進出。来春、3年ぶりのセンバツ出場は確実で活躍が期待される/写真=井田新輔
3年ぶり快進撃の背景に「コツコツネバネバ大作戦」
高松商高(香川)と言えば、春2度、夏2度の全国優勝を誇る古豪だ。近年は14年4月から指揮を執る長尾健司監督の下、20年ぶりに出場した16年のセンバツで準優勝。名門復活への道を歩んでおり、今秋は四国大会で3年ぶり9度目の優勝。だが、長尾監督は3年前と比較し「試合の数だけ本塁打を打ち、盗塁も40試合で40盗塁しましたが、今年は本塁打が1本だけ。足も遅く、ピッチャーの安定感も含めて、現チームは弱い」と評価する。では、なぜ強豪がひしめく四国を制覇することができたのか。その理由は長尾監督が選手にかけた魔法の合言葉「コツコツネバネバ大作戦」にある。
これは「ボール球に手を出さず、逆方向を狙う」というつなぐ野球を徹底させるために掲げた徹底事項だ。あらかじめ作戦名を公表してから大会へ臨む青学大陸上競技部・原晋監督の手法を参考にしたものだという。実際、選手たちは試合中も「コツコツネバネバ」という言葉を繰り返し、四国大会では3試合で35安打。そのうち30本はシングルヒットで、低くて強い打球を飛ばすことがチーム全体に浸透した。飛倉爽汰主将(2年)も「長打がないチームだが、単打、単打でつないでここまで勝ち上がってこられた」と振り返る。
投手陣は左腕・
香川卓摩(2年)が両サイドを広く使って打たせて取るピッチングを披露し、中塚公晴(2年)はストレート中心の投球で好投。守備では二塁手・谷口聖弥(1年)と遊撃手・大塚慶汰(2年)の二遊間コンビが伝統の堅守を見せた。
春へつなげた「つなぎ」意味ある最終回の3ラン
明治神宮大会では初戦(2回戦)で八戸学院光星高(青森)と対戦。初回に2点を先制されたが、2回表に四国大会で10打数8安打と大当たりだった浅野怜(2年)が左二塁打を放つと、さらに4安打を集中して4得点。8回表には立岩知樹(2年)が「外角のボールに合っていないから引きつけて打て。絶対に引っ張るな」という長尾監督の指示どおり、アウトコースの真っすぐを、逆方向のライトスタンドへ運ぶダメ押しの3ランを放ち、9対6で逃げ切った。
星稜高(石川)との準決勝では苦しい展開となったが、1対7の9回表に反撃。六番・谷口と代打の岡井祐斗(2年)がともにフルカウントから四球を選んで出塁すると、新居龍聖(2年)が3ラン。4対7で敗れはしたが、なんとか一矢を報いた。試合後、飛倉主将は7回までに12三振を奪われた相手エース・
奥川恭伸(2年)の印象を問われ「カウントを取りに来る甘い球を狙ったが、ストレートのキレが良く、変化球はさらに良かった」と脱帽。ただ、「好投手を打席から見られたので高い意識を持って冬の練習に入れる」と、さらなる成長を確信している。
長尾監督は収穫と課題を挙げた。
「力で勝負しても勝てないので、9回のようにチーム全員が一枚岩となった攻撃をし、ミスをなくして失点を減らしていきたい」
現チームの2年生には16年のセンバツ準優勝を見て入部してきた地元の選手が多い。3年ぶりの甲子園出場が確実な来春、あこがれの先輩に肩を並べ、センバツ第1回大会優勝校が名門復活への扉を開いていく。(取材・文=大平明)