
開邦高、南部農林高、辺土名高、真和志高による4校の連合チームは今春の沖縄16強と健闘を見せた/写真=仲本兼進
チーム一丸で白球追った4校連合チームが挑んだ春
新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、沖縄大会は当初から5日順延の3月25日に開幕。予防対策を講じ、無観客試合で実施された中で、連合チームが明るい話題を提供した。
北山高との3回戦。1回裏、いきなりピンチを迎える。先発の真和志高・仲宗根匠が先頭打者に死球を与えると、次打者にボークで二進を許す。そして開邦高の捕手・金城温大が犠打の打球処理を誤り、内野安打で無死一、三塁。守備タイムをかけると、バッテリーに加え、南部農林高の安慶名真生、開邦高の山城楽、平良基、平田吹輝の内野陣が集まった。ライトを守る辺土名高・比嘉銀二も遠くから視線を送る中、4校連合チーム「開農辺真」はこの局面を乗り越えようと声をかけ合い、笑顔を浮かべながら定位置へ散っていった。
「絶対に勝つという気持ちが伝わっていた」。チームを指揮した開邦高・照屋圭二郎監督は言う。平日は自校で汗を流し、週末に全体練習を行う。辺土名高・比嘉は、連合チームの部長を務めた高良耕平監督が運転する車で、本島北部の大宜味村から片道2時間以上かけて那覇市内での練習に参加していた。昨夏の県大会は単独チームで出場した辺土名高も、3年生が引退し部員1人。「練習は集中できなかった。だから週末仲間と一緒に野球ができるときがとても楽しかった」(比嘉)。部員6人の開邦高、2人の南部農林高、1人の真和志高の全10 人が気持ちを共有していた。
他校選手でも容赦なく落としたカミナリ
「この子たちは野球に飢えている。ただ野球をやらせるのではなく、今後の自信につなげてほしい」と照屋監督は、大会に向けて入念にミーティングを重ねた。練習中は声出しを徹底し、気の抜けたプレーを見せれば他校の選手であろうと容赦なくカミナリを落とした。なぜなら、敗退はチームの解散を意味するからだ。
「だからこそ、1試合でも多く投げたかった」と真和志高・仲宗根。決め球のスライダーとシンカーを駆使しエースとしての意地を見せると、南部農林高・安慶名も「(仲宗根)匠さんが捕手の配球どおりに投げていて、リズムが良かった。一人ひとりがやるべきことをやれば勝てる」。唯一、控えに回った開邦高・上原爽太は「とにかく、士気を上げたかった」と、守備時は1人ベンチで声を張り上げてチームを鼓舞した。チーム一丸で戦った結果、沖縄高専との1回戦では8対1の7回
コールド勝利。2回戦では昨秋の県大会準優勝校・八重山農林高に7対4と大金星を飾っている。
冒頭の場面に戻る。連合チームとして史上初の8強進出を目指した北山高との3回戦。初回のピンチで、円陣が解けた後に2失点。その後、エース・仲宗根が6回7奪三振と力投を見せるも、打線が3安打に抑えられ、善戦及ばず、0対9の7回コールドで敗退した。試合後、照屋監督は「短期間かつ限られた練習時間の中、よく戦ってくれた。沖縄高校野球の歴史の扉を開いたことを自信にしてほしい」と16強入りを果たした10人を励ますと、選手たちは涙を流すこともなく笑顔で仲間と別れ、各学校へと帰途についた。全力で出し切った清々しさが、表情に出ていた。力を結集すれば、少人数でも戦える。4校の10人は収穫を得た春だった。(取材・文=仲本兼進)