
高い身体能力がスカウトから注目される徳島・日隈[撮影=佐藤友美]
徳島・
日隈モンテル外野手(琉球ブルーオーシャンズ)が打席に入った。一塁への到達タイムを計ろうと、NPBのスカウトたちが一斉にストップウォッチに指を掛ける。
スト
ロングポイントは“足”だ。対高知後期3回戦(8月19日、阿南市)の第1打席、筆者が計った一塁駆け抜けのタイムは4秒09だった。右打者としては、やはり速い。
7月に投手から野手に転向して以降、注目度はうなぎ上りである。
「スカウトの方たちが見に来られて、そこで名前が挙がっているのは耳にしています。実感がちょっとずつ湧いてきている部分もあるし、ここからホントにラストスパートなので」
投手としては前期、3試合に中継ぎ登板したのみだった。制球力が安定せず、結果を残せていない。
高い身体能力を生かし、野手に転向することを、早い時期から首脳陣に薦められていた。
だが、投手へのこだわりを捨てられない。昨秋、投手として受験した
巨人の入団テストに合格している。可能性があるのなら、投手として現役生活を全うしたいと考えていた。
3歳上の兄・
ジュリアス(元
ヤクルト)も投手である。昨年8月、兄弟で所属していた独立球団、琉球ブルーオーシャンズで、兄が任意引退を発表している。モンテルにとって、一番のライバルが兄だった。
「お兄ちゃんが引退する話を直々に聞いて、一番のライバルがいなくなるんやったら、そのタイミングで僕も辞めようと思って」
しかし、兄から「お前には野球を続けてほしい」と告げられた。
「お前はまだ元気やし。野球は体が元気なときにしかできんから……」
左腕にメスを入れ、満身創痍(そうい)で現役を終える兄の言葉に、心を突き動かされた。兄のために頑張ろう。応援してくれる人のために頑張ろう。どんな形でもいいから、NPBに行って恩返しがしたい――。
野手で挑戦するほうが現実的だととらえ、投手へのこだわりを捨てた。
「塁に出て、走って。雰囲気を一変できるような選手になりたいですね」
スピードを生かした攻撃と守備が、他球団にとって大きな脅威となり始めている。[リポート/高田博史]