
6月20日、広島対楽天戦[マツダ広島]の1回無死一塁で楽天の小深田大翔が右翼へ飛球。広島の右翼手・末包昇大が地面ギリギリですくい上げ捕球したように見えたが、審判団はこれをワンバウンド判定。しかし一塁走者の村林一輝はこれを捕球と自己判断し、一塁へ帰塁した。一塁上で走者が重なったが、審判団は当初、打者走者の小深田をアウトに。これに対して広島・新井監督はリクエストを行った
【問】6月20日の広島対楽天戦(マツダ広島)で試合開始早々に難プレーがあり、審判団のジャッジに「?」でした。初回無死一塁で二番打者がライトへ飛球を打ちました。右翼手は地面すれすれの打球をすくい上げ捕球したかに見えましたが、一塁審判はワンバウンドでのフェアと判定。ところが一塁走者は自己判断で捕球と見なし、二塁へは進塁せずに一塁に戻りました。ここで一塁手はまずは一塁を踏みましたが、すでに打者走者は到達しており、その後、帰塁した一塁走者にタッグしました。広島・新井貴浩監督はリクエストをしましたが、どの判定に対してなのか不明、審判団も当初は打者走者アウトとしたのに一塁走者アウトで一死一塁での試合再開となりました。いまだによく分かりません。 【答】これはリクエストの結果も絡んだ何年に一度という難プレーでしたね。私もネット配信の動画で確認しました。まず、新井監督のリクエストは打球ではなく、一塁での判定を巡るものでした。よって、ライトゴロに対する打者走者の一塁でのアウトかセーフかの検証となります。この時点ではすでに打者走者は一塁上に立っていましたから、問題なくセーフです。一塁手は一塁を踏んだ後に進塁義務のある一塁走者にタッグしましたからアウトにすべきはこの一塁走者です。通常の二塁や三塁で同じ塁上に二人の走者がいたのであれば優先権があるのは前位の走者ですから、審判団はひょっとしたらこの特殊なケース(フォースの状態では後位の走者に優先権有り)で勘違いをしたのかもしれません。ただ、その後の協議で正しく訂正したのですから問題はありません。
一連のプレーに対するリクエストは1回のみではなく、2回あってもいいのです。例えば併殺プレーなどで二塁や一塁のどちらもがクロスプレーならば、両プレーに対しても、両チームからもリクエストは可能です。実際にそういった実例はあります(2023年6月30日・
ロッテ対楽天戦)。
ですから新井監督はライトへの飛球判定に対してもリクエストすることはできました。その結果、もしも捕球となればその時点で打者走者はアウト、まだ一塁へ帰塁していなかった一塁走者もアウトの併殺。逆に自己判断せずに一塁審判のフェアのアクションを見て一塁走者が二塁に進塁していれば楽天は無死一、二塁となりました。どちらも大きく局面の変わる可能性があった場面だっただけに、一死一塁での試合再開というモヤモヤ感が残りましたね。
PROFILE やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。