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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「キャンプetc.」

 

空の一升瓶に砂を詰め筋力トレーニング


 選手時代の私は、野球を何も分かっていなかった。分からなかったが分からないなりに、キャンプではとにかく汗を流すしかないと考えた。

 私は持久走が非常に苦手だったので、その分時間をかけ、人の倍はやらなければいけないと思い、いつも1人、グラウンドに残って走っていた。

 最近、うさぎ跳びは有害性が指摘され、禁止する学校やクラブが多いらしいが、私にはうさぎ跳びが一番、下半身を鍛えるのに有効だという実感があった。だからよく、うさぎ跳びもしたものだ。

 以前も話したとおり、当時は重いものを持ってはいけない、水泳をしてはいけない、という時代。水泳の是非はともかく、重いものを持ってはいけないというのは根拠がないと思い、鉄棒で懸垂したり、腕立て伏せをしたり。そうしなければ、日米野球で見たメジャー・リーグの選手たちの腕っぷし――パワーにはかなわない。

▲若いころ、とにかくキャンプで汗を流した


 われわれのころは、筋力トレーニングの器具など皆無だったから、身の回りのもので工夫した。寮のおばちゃんに空の一升瓶をもらい、中に砂を入れてトレーニングに使った。そのままでは滑って持ちづらいので、持ち手となる部分にばんそうこうを巻いた。

 これは寮生活の中、ひょんなことから思いついたものだ。あるとき「おばちゃん、しょうゆちょうだい」と言って調理場に行ったら、おばちゃんがひょいと一升瓶のまましょうゆを差し出した。それを受け取ったとき、これはトレーニングにいいんじゃないか、とピンと来た。「おばちゃん、一升瓶空いたら俺にちょうだい」「何するの?」「いや、ちょっと……」

 若いころは、月給が安いから何も買えなかった。のちに鉄アレイを買えるようになってからは、鉄アレイを部屋に置いて練習した。

 ルーキー当時の月給が7000円で、確か寮費が3000円だった。飯代込みとはいえ、意外と高かった。栄養をつけたいと思っても、肉なんかお金が掛かるから食べられない。唯一、栄養がつく感覚のあるものといったら、卵だった。

 朝食は決まって・・・

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野村克也の本格野球論

勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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