大学3年秋にして100安打達成。リーグ史上初の快挙を成し遂げ、球史にその名を刻んだ明大・高山俊をレポートする。 10月28日の立大4回戦で前人未到となる3年生秋での六大学通算100安打を達成したが、
高橋由伸(慶大、119本)や
鳥谷敬(早大、115本)など過去に記録した選手を見て分かるように、プロで活躍するステータスをすでにクリアしたと言える。天性の安打製造機は、価値のある勲章を早くも手に入れたわけだ。

リーグ史上初となる3年生での通算100安打を達成した高山[明大]。記念のボールを手に撮影に応じる
そのヒットを積み重ねてきた打撃フォーム(9.0)だが、軸足に体重を乗せる意識、ボールを強く打とうとする姿勢、前足の踏み込みなど、すべてにおいてバランスが良い。ミート力に長けており、スイングスピードも速く、軸回転で内角のボールに対応できるし、外のボールは逆らわずに打ち返せる。さすがヒットを量産しただけあって、素晴らしいものがある。今後は現在のフォームを固めていくことが大事だ。しかし、打席を重ねるごとに状態に力が入り、手打ちになるときがある。さらにボールの見極めが甘くなるところがある。選球眼(8.5)にばらつきがあるので、今後は課題の一つとして意識してほしい。
左右、そして背後への打球反応に優れている外野守備(9.0)もレベルが高い。一歩目のスタートが早く、守備範囲も広い。強いて言うならば、外野ゴロの打球に対して、今以上に前で捕球し、各塁へ正確なボールを投げてもらいたい。プロのスピードに対応するためにも、少しでもチャージを緩めることなくやっていけば、1点を阻止するプレーができる。
走塁(9.0)に対する意識も高い。現在のプロは、ワンヒットで一塁から三塁に行ける走者を求めているが、彼は常にそのことを頭に入れているように見える。そしてスピードも備わっている。守備、走塁含めて判断力(9.0)のポイントは非常に高い。前述したように、打席でのボールの見極め、判断を高めていけば、さらに伸びていく。このように三拍子のバランス(9.0)は平均点以上だ。
負けず嫌いなのだろう。島岡吉郎元監督からのスタイルのように、まるで猪のごとく、目標に向かって一直線に突き進むメンタル(9.5)を持っている。気持ちを表に出すし、内に秘めているものも感じる。体力(9.0)はリーグ戦の出場数(6シーズンで81試合)が物語っている。ここまでヒットを量産できた一番の要因がケガをしなかったことだ。これからはプロは年間140試合近くプレーすることを頭の片隅に入れて、持久力、体力強化を怠らないようにしていただきたい。
以上を踏まえて将来性(10.0)は満点。プロで1年目からポジションを取れる即戦力外野手だ。守備からもいける、代打でも問題ない、ベンチの要求に応えることができるプレーヤーになるだろう。
今後の課題としてはストライクゾーンを把握して、選球眼を磨くこと。四球を選べるようになれば、打率も上がっていく。甲子園で全国制覇、そして神宮とエリート街道を歩んできただけあって、スター性も兼ねそろえている。総合力(9.5)は申し分ない。
六大学の安打記録、
高田繁(明大)の127本更新も夢ではないだろう。非常に楽しみな選手である。
■採点表 打撃フォーム 9.0 選球眼 8.5 守備力 9.0 走塁 9.0 3拍子のバランス 9.0 判断力 9.0 メンタル 9.5 体力 9.0 将来性 10.0 総合力 9.5 合計 91.5 ※採点の基準は2015年のドラフト対象選手
PROFILE たかやま・しゅん●1993年4月18日生まれ。千葉県出身。181cm87kg。右投左打。小学1年から野球を始め、所属していたホワイトビーストロングで遊撃手、捕手、投手を兼任。七林中時代は船橋中央シニアで投手兼遊撃手。日大三高では1年秋から右翼のレギュラー。甲子園には3度出場(2年春準優勝、3年春4強、同年夏優勝)。秋の国体も制した。明大では1年春からレギュラーを獲得し、いきなりシーズン20安打。3年秋にリーグ最速での通算100安打を達成。通算成績は81試合、315打数100安打、打率.317、6本塁打、38打点。