今の時代に求められるコーチの役割とは?
チームが変わり、教える選手もすべて変わった16年。その中でも一貫して変わらないのが、自身のコーチ哲学だ。2年連続で最下位に沈んだ楽天。最下位チームを指導するという点では06年の状況と同じである。打線低迷の理由を探りつつ、若い選手たちの才能を発掘。充実の日々が続いている。 僕のプロ1年目の春季キャンプを思い出すと、休みも少なかったですし、上下関係が今よりも厳しかった時代。ただガムシャラにやっていたから、自分はどのレベルにあるのかすらも、よく分からなかった。そのルーキー時代、今は亡くなられてしまったんですけど、
船田和英コーチが夜間練習に付き合ってくれて、一心不乱にバットを振っていたことを覚えています。それを念頭に置きながら、僕も選手に接しています。
今の子たちは環境に恵まれていますよ。ただ、いろいろな情報があふれている時代でもあるので、その分、より的確な取捨選択が求められているはず。そこはこちらがしっかりと教えていかないと。
中川大志や哲�討覆鼻⊆磴ち�手たちは本当に素晴らしい才能を持っている。それでも完全に開花をしているとは言えないので、何とかサポートしていければと考えています。また、2年目の
ウィーラー、新たに加わった
アマダー、ゴームズという外国人選手がいる。いずれも右打者ですし、経験のある彼らの調整方法や打撃理論に触れることも楽しみにしています。
外から見た楽天は、本当に最下位どおりの野球をやっているなという印象でした。長打力のなさ、得点力のなさ。ただ、それだけではないと思うんです。単純な数字からは見えてこない部分もあるはず。人間がやるスポーツですから。シーズンを通して選手のモチベーションを保つということも、コーチの役割ではないかと思っています。その上で、いろいろな意味でのつながりを意識すれば、もっと上位へ向かっていけるはずです。
楽天に戻ってくるきっかけとなったのは、
星野仙一副会長の「力を貸してくれ」という言葉。それを聞き、とにかくやりがいという感情があふれてきて。何とか楽天を打てるチーム、強いチームにしたい。今の楽天は、梨田(昌孝)監督が明るく、そして話しやすい環境を作ってくださっていますから風通しがいいです。
先ほど、コーチの役割を監督と選手のパイプ役と述べましたが、それと同時に選手の“夢つなぎ”という意味合いもあります。良い選手には1年でも長く現役を続けてもらいたいですし、グラウンドで華やかなプレーをしてもらいたい。目標実現のために、悔いのない野球人生を。現役選手が表舞台にいるとすれば、僕ら指導者はその裏方。陰でしっかり支えることのできる存在でありたいです。
僕としては一軍と二軍コーチの役割は別物だと考えています。一軍は勝つためのコーチング。そして主力選手には、それを実現させるための精神的なサポートも必要となる。二軍は選手の育成、教育という仕事がメーン。どちらにもやりがいを感じますね。
「コーチの第一義は、自信をなくしている、目標を失っている選手に、いかに意欲を出させるかということ」。これは野村さんの言葉。選手個々の考えに寄り添いながら、飛躍するために必要なものは何か、一緒に探していきたいですね。
PROFILE いけやま・たかひろ●1965年12月17日生まれ。兵庫県出身。市尼崎高から84年ドラフト2位で
ヤクルト入団。主力打者、遊撃手としてヤクルト黄金時代を支え、5回のリーグ優勝、4回の日本一を経験。ベストナイン(遊撃手)を5回、ゴールデン・グラブ賞を1回獲得した。2002年限りで現役引退。通算成績は1784試合、1521安打、打率.262、304本塁打、898打点。06年から楽天一軍打撃コーチを務め、09年までに首位打者2人、本塁打王1人を輩出した。11年から古巣・ヤクルトに二軍打撃コーチとして復帰。13年に一軍打撃コーチ、14年に二軍打撃コーチ、15年に二軍野手総合コーチ。15年11月、楽天一軍打撃コーチに就任した。