昨季高卒1年目はプロのスピードに慣れず打率1割台と苦しんだ若者が、今季は開幕から3割をキープ。オフの期間にじっくり打撃に専念し、量をこなし打撃フォームをつくり上げた。今季こそは一軍で結果を残すつもりだ。 取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也(取材日=5月9日) 一軍では遊撃のレギュラー争いが激しい。昨季ウエスタンで最多安打を放った高寺望夢も一軍で結果を残した。今季開幕当初から打撃で好調を維持している百崎蒼生は、オフにみっちりと打ち込んだ。その成果が結果となって現れ始めている。 ──今季は公式戦、打率3割(.327)を超えています。特に1試合でマルチ安打(1試合2安打以上10回)が多いです。
百崎 去年とは、ボールの見え方が大きく違います。それによって変化球に対応できるようになってきたことが大きいです。プロの投手の速さに慣れたということもあるかもしれませんが、対応力は上がっていると感じています。
──スピードに慣れていくきっかけがあったのでしょうか。
百崎 きっかけというのはないと思うんです。このオフにかなりの量のバットを振り込んできました。オフの目標は練習量、という部分にこだわってやっていきました。練習量をたくさんこなしていく中で、打撃メニューの数も増やして、見えてきたものがありました。
──スピードに合わせる練習も行っていたのでしょうか。
百崎 昨年は、打てなくなったらすぐに打撃フォームを変えたりしていました。でもまったく結果が出なかったので、まずはしっかりと自分の打撃フォームを固めていこうという考えをもってオフに入りました。その結果としてスピードにもついていけるようになった、という感覚です。
──練習の量をこなして、打撃フォームが固まっていったということでしょうか。
百崎 はい。振り込んで、振り込んで、疲れてきたときに自分の打撃フォームがどうなるのか、というところも知りたいと思っていました。実際に疲れてきたときに、バットの軌道が悪くなって、ボールが滑るようにバットに当たってしまうという現象も出てきました。そこから、バットの出し方は、こういう感じで打たないといけないなというイメージが自分の中で出来上がっていきました。
──量を振ってというのは、素振りだけでなく、マシーン打撃もたくさんやったのでしょうか。
百崎 本当にたくさんの種類のT打撃を、それぞれに量を多くして振り込んでいきました。そのあとに、前から投げてもらったり、マシーンで打って自分の打撃フォームを固めていきました。

練習では数種類のT打撃を繰り返し、バットの出し方や、体の軸を確認して試合に臨み、いい結果が出続けている[写真左]
──とにかく振り込んで、自然と自分の打撃フォームを見つけていった。
百崎 はい。振っていく中で、この形がいいなと納得して、その打撃をつくり上げていきました。そしてシーズンが始まったときに、さらに打撃の調子が上がってきたという流れになっています。
──思いどおりの打撃ができなかったときに修正できる術は身に付けられるようになっているのですか?
百崎 僕の中で悪いクセがあります。それは引っ張って打つということ。そうなると体が開いてしまって、バットがなかなか出てこないという欠点があります。そのときは、体を開かないように、一瞬軸を止めてから、バットを出していき、右中間に打つイメージをつくるようにしています。その練習をやるといい感じに戻っていきます。その引き出しが去年はなかったんです。
──そこは自分自身で確認しながらやっているのでしょうか。
百崎 北川(
北川博敏二軍打撃チーフ)コーチに毎日チェックしてもらっています。もちろん、自分で考えることも大事なのですが、いろいろと教えていただけるので、打撃の引き出しが増えていると感じるので、北川コーチには感謝しています。
──打撃練習では、1球ごとにビデオで確認できます。そのときに自分の感覚と、実際に映し出される画像を比較して、イメージは一緒になることは多いですか。
百崎 違いが一番分かるときは、自分の欠点が出たときです。体が開いてバットが出てこないという。そこは一致できるようになりました。それができ始めて打席での自信に繋がっていきました。
──では打席で追い込まれてもアタフタすることも少なくなった。
百崎 昨年までは追い込まれてからの三振率が高かったのですが、今年はかなり減ったので、追い込まれてからも焦ることがなくなりました。
──四球もかなり多くなっていますよね。
百崎 打率3割をキープしていくためには、4打数1安打から、四球を取って3打数1安打にしていくことも大事だなと思います。だからこそ四球にもこだわっていますし、犠飛にもこだわっていきたいと思っています。
──追い込まれてから見逃すことには勇気がいると思います。
百崎 3ボール2ストライクから手を出すことは多いですが、三振することが少なくなりました。「(バットを)手出しをするから結果が出る」のだ思っています。やはりバットを振らないと結果は残せないと思っていますので。
──我慢するところと積極性と……。
百崎 はい、まさにそうですね、そこのバランスはうまくできているとは自分の中では思っています、去年とは気持ちの持ち方が変わりました。これは一打席一打席に集中している結果だとは思います。
エラーは帰ってこない
──少し打撃面での話が長くなりましたが、守備のほうも自信を持ってプレーできている。
百崎 去年は主に二塁を守っていたのですが、今年は内野のどこでも守れるようにしています。いろいろなポジションで試合に出してもらって(
平田勝男二軍)監督からも期待を懸けてもらっているので、もっと練習をし、試合でももっと経験を積んでいきたいと思っています。
──同じ内野でも、ポジションごとに難しさはあると思います。
百崎 それぞれに難しさはありますが、どこでも守れるようになれば、一軍に上がる可能性は上がるかなと思います。
──一軍では
中川勇斗選手が、打撃で評価されて上がりました。この出来事もモチベーションになるのではないですか。
百崎 はい。そういうこともあり得るぞ、と思いながら、練習して結果を残し続けたいなと思います。やはり一軍に上がってプレーしないと、年俸も……(笑)。まずは、上で活躍することが自分の目標でもあるので。
──いつごろ上がりたい、という明確な設定目標がありますか。
百崎 いつでも上がれる準備をしています。あとはこの打撃の調子をどれくらい維持できるか。また、調子が下がったときに、その期間をいかに少ない日数で抑えるかを考えながら練習に励みたいと思っています。以前、試合中に守備で失敗をして、代えられました。そのときに落ち込んだんですが、その落ち込んでいたときに「下を向いても仕方ないな。エラーは帰ってこないし」と思ったんです。そこをきっかけに、前を向いてプレーできるようになりました。なので、とにかく毎日を全力でプレーして結果を残していきたいです。
大解剖 DATA FILE
ABILITY CHECK 
※将来値を5点満点としての現在値[0.5点刻み]
<自己分析> まだまだパワーもミート力も足りない部分が多いと感じています。走力もそこまで速いほうだとは思わないので、この点数にしました。メンタルも……今季、一度エラーして交代させられ、試合中にサブグラウンドでノックを受けたときなどは2、3日落ちこみました。でもクヨクヨしても仕方ないと、今は克服していますので、この点数(3.0)にします。
PERSONAL QUESTION Q.ニックネーム A.もも
Q.好きな食べ物/嫌いな食べ物 A.冷麺
Q.休日の過ごし方 A.部屋の掃除
Q.地元・熊本のおすすめ A.七城のお米。とにかくおいしいです(日本穀物検定協会2021年米の食味ランキングで「特A」受賞)
<ポジション> メイン:遊撃手
サブ1:二塁手
サブ2:三塁手
【2025年ウエスタン打撃成績】(5月15日現在) 37試合、打率.327、35安打、0本塁打、13打点、1盗塁
【2024年ウエスタン打撃成績】 74試合、打率.185、22安打、1本塁打、10打点、2盗塁
PROFILE ももさき・あおい●2005年9月11日生まれ。熊本県出身。[甲]東海大熊本星翔高-阪神24[4]=2年。