ロマンあふれる超大型右腕は今年、仙台育英高からドラフト3位で入団した。投手に専念したのは高校2年秋。投手経験わずか1年ほどで驚異の成長曲線を描きプロの扉をこじ開けた。強じんなフィジカルに努力できる才能も携えた逸材が、オリックスの未来を明るく照らす。 取材・構成=中野聖己 写真=佐藤真一、BBM 
オリックス・山口廉王[投手/1年目/19歳]
高卒1年目から実戦登板の機会に恵まれ、順調にステップアップ。プロ3試合目の登板となった7月11日のウエスタン・阪神戦(杉本商事BS)で先発マウンドに立つと、5試合目の中日戦(バンテリン)で早くも初白星を手にした。身長193cmの未完の大器は、地に足をしっかり着けながら大きく羽ばたく準備を進めている。 ──6月6日に中継ぎで初登板、7月11日に初先発、8月7日に初勝利(5回1失点)、同20日のくふうハヤテ戦で7回無失点の2勝目と、
トントン拍子で結果が出ています。プロ1年目のここまでを振り返っていかがでしょうか。
山口 ひとまず順調に来ているのかなと思います。結果もついてきてはいるんですけど、疲れも出て課題も多く見つかってきていますし、「1年間戦うのは大変だよ」というお話をいろんな方からいただいて、それを実感しているところですね。
──課題と言いますと。
山口 試合で投げていくなかで、コントロールはまとまってきて、変化球でストライクを取れていますが、自分としては思っていたより三振が取れていないことが少し気になっています。試合によって三振の数に差があるので、コンスタントに三振が取れればいいなと。理想の投球スタイルとしては、もう少し三振を多く取れるようなピッチングがしたいですね。
──アマチュアとプロの打者ではもちろんレベルは違いますが、高校時代に三振を奪っていたときとは感覚も違いますか。
山口 違いますね。6三振を奪った8月7日の中日戦のように、ハマったときは真っすぐでも変化球でもしっかり三振が取れるんですが……。
──三振が思ったより取れていない要因についてはどう自己分析していますか。
山口 今は変化球でしっかり勝負ができているので、バッターが打ち損じてゴロになっているケースも多いのかなと思います。
──先発としては、打たせて取る投球も大事になってくると思います。
山口 それはもちろんいいことなんですけど、自分自身が乗っていけるカギになるのは、やはり三振なのかなとは思います。中日戦も三振を取って乗っていけたんですよね。4回、先頭バッターから始まって三者連続空振り三振が取れました。乗っていける投球スタイルはこういう感じだなと。今はいい意味で三振が取れていない状況で先発としてなんとかやっていけているので、三振を取れる方法もつかんでいければ、もっとピッチングの幅が広がっていくと思っています。
──8月20日のくふうハヤテ戦(ちゅ〜る)は7回を投げて1死球のみとコントロールも安定していました。
山口 投手経験が少ないこともあって、長いイニングを投げ続けることがこれまであまりなかったので、コントロールは課題でした。プロ入り後に成長できた面はフォアボールが少なくなったことです。制球が安定するようになったので、そこは少し自信につながった感じですね。
──投手経験の少なさはすべてをフラットに吸収できるメリットにもなりますね。
山口 すべてが初めてのことなので、周りの意見を聞くことに徹しています。何年も投手をやっている選手とは情報量が違いますから。投手の経験値の少ない僕を獲っていただいて、いろいろな方の考えを聞ける環境にいられることは本当にありがたいです。平井(
平井正史)コーチや牧野(
牧野塁)コーチには「自分のスタイルを忘れるな」とよく言われますが、そのとおりだと実感しています。周りの方の意見を聞きながらも自分の形に戻ったときにしっくりくることもある。一つの意見に固執せずに、さまざまな意見を取り入れることも強みになってくると思います。
──長いイニングの登板については。
山口 単純に疲れますね。スタミナ的にはまだまだ未熟ですから。そこは慣れていくしかないので仕方ないかなと。早く慣れて、自分のスタイルを見つけていくことが必要だと感じています。
──先発はやりがいもありますね。
山口 それはもちろん! 僕が先発でやりたいと直談判したのを、受け入れていただきましたので。こんなに早い時期に先発で投げさせてもらえるのは宮城(
宮城大弥)さんくらいで「順調過ぎるよ」と言われます。9月2日のくふうハヤテ戦(杉本商事BS)の内容は良くありませんでしたが(4回5安打1失点で初黒星)、逆に課題も見つかって良かったと思っています。
一番の変化はフォームの安定
──プロに入って新しく取り組まれたことはありますか。
山口 一番変わったのは、フォームが安定してきたということですね。
──左足を高く上げる独特のフォームの大枠は変わらないように見えます。
山口 写真で見たら多分、変化が分かるんですけど、左足を上げたときの形が以前よりもしっかり整っていると思います。ブレが少ないというか、しっかり足を上げたところで止まって、次の段階に進めていけるようになってきているんです。
──軸足のほうもブレがない。
山口 そうですね。始まりから形が固まっていて、そこから足を上げ、下りていく段階でも一つひとつのフォームがきれいになってきている。映像だけでは分かりづらいんですけど、コーチの方にもアドバイスをいただいて試行錯誤しながら。
小林宏コーチには個別でメニューを組んでもらって試合で出てきた修正点をフォーカスして、またプラスのメニューに取り組んでいます。自分に合うものをしっかりやっていった結果、コントロールがまとまってきているのを実感しました。
──フォームのチェックは自分でもされるんですか。
山口 もちろんします。僕はあんなフォームで投げているので、一つひとつがズレると大きく変わってしまう。念入りに見返して、自分のフォームにはすごく気を使っていますね。
──左足を高く上げることが理にかなっているのはどんな点でしょうか。
山口 足を上げてから下ろすまでの時間が長いと、加速できる時間も長くなります。単純に体を使って投げたいと思ったのがきっかけですが、最初はあんなに高く上げていなかったんですよ。自分で考えながら徐々に変化を加えて、今の高さになりました。
──体重移動がしやすく、一番スピードが乗る形ということですね。
山口 そうですね。あのフォームだと安定しないんじゃないかと周りには思われがちですけど、しっかり結果として出てきていますので、自信にもなっています。

ダイナミックなフォームから威力のある真っすぐと精度の高い変化球を投げ込む
──二軍戦で
森友哉捕手に受けてもらって、何かアドバイスをもらいましたか。
山口 若いうちはそんなにコースを突かなくていいから、ゾーンで勝負してこいと言われました。
──プロ入り時の目標とする選手は
山下舜平大投手とおっしゃっていました。
山口 それは変わらないですね。今まで見たピッチャーのなかで一番魅力を感じる、こうなりたいって思える選手です。
──ボールの出力は「山下投手に匹敵する」と言われるほどです。
山口 まだまだですよ。次元が違います。舜平大さんは本当にすごいの一言ですね。もうあこがれです。真っすぐはもちろん、カーブも魅力ですね。僕がバッターだったら、あんな厄介な球を投げられたら絶対に嫌だと思います。本当にズラしにいっているボール。僕もあんなカーブを投げられたらいいんですけどね。
── 一軍の戦力となるために必要だと感じていることは何でしょうか。
山口 投げ続けられる体力です。出力も上がってきてイニング数も投げられて、四死球も少なく抑えられているので、1年間通して戦い抜く力をつけていけば、おのずと自分の形がしっかり固まってくると思います。
──残りの今シーズンの目標は?
山口 今年1回でも一軍の試合で投げられたらいいですね。もしチャンスをいただけるのなら、一軍のマウンドで投げたいです。
──将来的に目指していく選手像を教えてください。
山口 投げ続けてチームに必要とされる選手ですね。チームに勝ちを持ってこられるピッチャーが理想。チームが勝つことが一番なので、勝利に貢献できるピッチャーになることを目指していきます。
大解剖 DATA FILE
ABILITY CHECK 
※将来値を5点満点としての現在値[0.5点刻み]
<自己分析> 球速はこれからもっと上げていきたいですね。制球力は良くなってきているとは思います。今、変化球で一番いいのはカーブで、その次はフォークです。今は満遍なく変化球を投げられているので打ち取れていると思います。メンタルは平均より少しは強いほうかなと自分では思いますけど、周りからは言われたことないです。
PERSONAL QUESTION Q.ニックネーム A.グッチ、レオッチ(たまに山下舜平大さんに言われます)
Q.好きな食べ物/嫌いな食べ物 A.海鮮は全部好きです/なし。何でも食べます
Q.休日の過ごし方 A.おいしいご飯屋さん巡り(寿司、焼き肉)
Q.最近ハマっているモノ・こと A.ずっと寝ること、ゲーム(
乾健斗選手と「荒野行動」)
<持ち球> ●ストレート/最速154km/h
●スライダー
●カーブ
●フォーク
【2025年ウエスタン投手成績】(9月19日時点) 8試合2勝1敗0S、31回、14奪三振、防御率1.74
PROFILE やまぐち・れお●2006年5月14日生まれ。東京都出身。仙台育英高-オリックス25[3]=1年。