週刊ベースボールONLINE

デーブ大久保コラム

デーブ大久保コラム「楽天・松井が史上最年少150S達成おめでとう!!目指せ300セーブ」

 

25歳6カ月の史上最年少で150セーブを挙げた松井裕樹。彼の能力からしたら300セーブは必ず達成できますよ[写真=高原由佳]


 あらためて医学の力はすごいな、と思いましたね。新型コロナウイルス対策のワクチンのことではないですよ。楽天の松井裕樹のことです。5月9日の日本ハム戦(札幌ドーム)でNPB通算150セーブを記録。しかも史上最年少25歳6カ月での達成となりました。

 思い出すのは1年目。私が楽天の二軍監督のときです。裕樹は一軍に先発として呼ばれて投げていましたが、ボコボコに打たれて二軍に降格となりました。そのときに、彼のピッチングで気になることがあったので、二軍の酒井(酒井勉)コーチに許可をもらい、話をしました。

 私が気になったのは、左の軸足の足先がプレートに対して平行に置かれてなかったことです。つま先が一、二塁間の方向に向いていてかかとがややプレートから離れていた。そうなるとホームベースの方向へためたパワーがしっかりと伝わらないんです。体が突っ張る形で止まってしまう。素晴しい球があるのにもったいない状況でした。そこを説明して、まず修正をしました。

 それともう一つ。当時の外国人左腕にトラビス・ブラックリーという投手がいました。皆さん覚えていますか? この投手、めちゃくちゃけん制がうまかったんです。私が今まで見た、対戦した中で一番うまいと言える投手でした。裕樹には、ブラックリーにけん制のいろはを教えてもらうようにアドバイスしたのを覚えています。

 左投手でけん制がうまければ、そうそう走られないですし、うまいという先入観を相手に持たせることができれば、ピッチングにも集中できますからね。実際にクローザーとして9回に四球で走者を出しても、この武器があればランナーを一塁にくぎ付けにできる。

 裕樹が、このけん制の技を習得したことが、150セーブ達成の手助けにもなっていると言ってもいいと思いますよ。

 私の手柄のような話になってしまいましたが、そうではなく、裕樹がプロ野球の世界で生きていくために、何が必要なのかを考えて、人の話をしっかり聞いて、なおかつ取捨選択できる人間だからこそ、実績を作れたのです。

 楽天は、どういう脳波を持った選手かを調べ、数値化しています。その中で裕樹は、短い時間で一気に集中し発揮できるクローザー向きの資質が医学で証明されたという話を以前にもしました。実際、裕樹を抑えに据えるとき、実は首脳陣、背広組とも大反対だったんです。しかし1人だけ「面白いんじゃない」と賛成してくれた方がいました。それが三木谷(三木谷浩史)オーナー。それでも反対の意見が多かったのですが、最後は当時一軍監督の私が強権を発動した(笑)、という形で裕樹を9回に据えました。

 本人も思っているでしょうが、150セーブは単なる通過点。まずは名球会入りとなる250セーブを目指してほしいですね。そこからは1つずつセーブを積み重ね、300セーブを目指してほしい。それができる男だと思っています。

PROFILE
大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。

デーブ大久保チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCKa1VlSq1WwdSQWv4JFdgxg

デーブ大久保ツイッター
https://twitter.com/daveohkubo
デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」

デーブ大久保の「さあ、話しましょう!」

元楽天監督、現解説者の「デーブ」こと大久保博元氏の連載コラム。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング