
絶対に18歳と思えない度胸を持った松川捕手はスゴイですね。あの場面を誰よりも冷静に見ていました。末恐ろしいですねえ[写真=井田新輔]
先週の話になりますが、18歳の捕手が株を上げましたねえ。4月24日の
オリックス対
ロッテ戦(京セラドーム)の2回に白井(一行)球審の
ジャッジにロッテ先発の
佐々木朗希が不満な? 態度を示したことに、白井球審がマウンドに目を見開きながら(もともと目が大きい球審ですが……)詰め寄りました。
このとき仲裁に入ったのが、ロッテの捕手、松川(
松川虎生)でした。どっちの顔も立てるような態度で、その場をうまく立ち回りました。たぶん、彼は年齢を偽っていますね(笑)。あんなことベテラン捕手でもできないですよ。本来なら投手と一緒に判定に不満を言いそうなもんですが、冷静に慌てることもなくなだめました。
私の捕手の経験から言いますと、走者が盗塁を試み、捕手が二塁送球をした場合、投手の投げたボールがコースギリギリに来ると、ほぼボールになる感覚です。というのも、判定を下すときには、そのボールはすでに二塁に送球されているので、判断がしにくい状況なのです。
あのときのボールだけを見るとストライクに見えるかもしれませんが、そこは球審がボールと言えば、ボールなのです。最終判断を下す権限は球審が持っていますから当然のことです。私も二軍監督のときに、実戦練習などで球審をしたこともあります。やはりプロのピッチャーのあの速度と曲がりを一瞬で判断するのは難しいことですよ。しかも佐々木朗は160キロを超えますから、なかなか難しいと思いますね。
それと今回の件は2回という早いイニングで起こった出来事なので私には「?」でした。つまり、佐々木朗がこれまでの登板の中で、球審に対してそういう不審を出す態度を取っていた可能性があります(あくまでも可能性です)。そこを審判団の間で共有していたかもしれません。もしくは白井球審自身が、そういう佐々木朗の何気ない仕草を気にしていた可能性もありますよね。
それも含めて、ファンの皆さんは一度、選手の目線ではなく、審判の目線で野球を見てみるのも面白いと思います。審判って本当に難しいものですよ。以前、審判を引退された平光(清)審判から聞かされた話があります。
「ON、とくに長嶋(
長嶋茂雄)さんからは厳しいことを言われて、何度退場と言おうかと思ったことか。でも、長嶋さんを退場にすると、観戦に来たお客さんやテレビを見ているファンが悲しむから。こらえたよ」と。そういう興行のためを考えて審判をする方もいることは分かってほしいですね。
私は現役のときにマイナーでプレーし、引退後はメジャーに何度も取材に行きましたが、いつも思うのが「日本の審判のほうが優れている」ということでした。決して技術は低くないです。そこもしっかり考慮していただき、審判目線でもプロ野球を楽しんでほしいです。
PROFILE 大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で
西武に入団。トレードで
巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは
楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。
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