
チーム全体50本塁打中15本がビシエドだ[写真右]
巨人の層の厚さ
オリンピックが終わり、8月13日からペナントレースが再開されました。残り60試合を切り、それぞれ優勝、あるいはCS進出に向け、負けられない戦いが続いていきます。
私は東京ドームで
巨人-
中日戦の解説をしました。首位
阪神を僅差で追う巨人に対し、中日は10ゲーム以上の差をつけられていますが、これまでの両者の戦いを見ていると、そこまでの力の差は感じません。実際、3連戦前の対戦成績は6勝6敗2分と互角でした。
まず1戦目ですが、初回に先制点こそ許しましたが、中日先発の
柳裕也選手はヒットを打たれながらも粘り強いピッチングを見せ、以後を無失点で切り抜け、7回には四番のビシエド選手の2ランで理想的な流れでの逆転劇となりました。
ただ、そこから巨人は
大城卓三選手、
亀井善行選手と代打攻勢を仕掛け、8回裏には代打・
若林晃弘選手が同点弾。そのあと2点を取られ、中日は2対4で敗れてしまいました。三番手の
又吉克樹選手が制球難もあってつかまりましたが、ここまでの登板数を考えれば、責められないと思います。むしろ主力に近い力を持った代打陣が控える巨人の層の厚さを評価するべきでしょう。加えるなら9回打ち切りもあって、延長戦を考えず惜しげもなくつぎ込んできたからこその勝利でもありました。
五番にもう一枚
一方、戦い方としては悪くなかった中日ですが、今シーズンは、こういう、あと一押しがなく負けた試合がかなりあります。理由はやはり打線、特に長打力です。現状、2ケタ本塁打はビシエド選手の15本だけで、次が
木下拓哉選手の7本(成績は8月16日現在)。どうしても得点力はビシエド選手頼みになり、他チームからすれば、彼だけを警戒すればいい、となっています。クリーンアップは今、三番に
大島洋平選手を置いています。彼は打率も高いし、三番で悪いというわけではないのですが、タイプ的には一番でしょう。しかも、彼を三番に置くことで一、二番が手薄になっています。
やはりクリーンアップにはもう一人、長打力があり、相手チームから警戒される選手を置きたいですね。守備面の課題はあるかもしれませんが、
A.マルティネス選手か、エキシビションマッチでホームランを打っている
ガーバー選手を五番に置くことで、流れを変えることができるかもしれません。
巨人が追い掛ける阪神は、
佐藤輝明選手の加入もあり、昨年に比べ、非常に力強い打線になりました。ただ、序盤から自分たちのペースで畳み掛けるように打ちまくったり、リードした展開で抑えが好投して逃げ切るというのは多いのですが、最後まで競り合って勝った試合はあまり多くありません。これからは当然、そのような展開が増え、それに勝っていかなければ優勝は難しいでしょう。一方で巨人は、
原辰徳監督をはじめ選手も優勝経験が豊富で、そういう競った展開に自信を持っているはずです。
発売のころには逆転の可能性もある両者のゲーム差ですが、常に3ゲーム差以上をつけ、余裕を持って戦っていけるかどうかも阪神優勝のポイントになるかもしれません。
PROFILE 立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ、新人王、ゴールデン・グラブ賞に。95年から97年とセカンド、2003年にはサードでと3ポジションでゴールデン・グラブ賞に輝いている。09年限りで現役引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本記録である。18年野球殿堂入り。