2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 座談会『プロ野球は恐ろしい!〜注目された大物新人の1日』
今回は『1959年4月29日号』。創刊55号で定価30円だ。センターカラーは『王座を守る鉄腕』と題し、巨人・
藤田元司、西鉄・
稲尾和久が登場。巻頭グラビアでは国鉄の大エース・
金田正一、巨人2年目の
長嶋茂雄、新人・
王貞治と近づくペナントレースの主役3人が並ぶ。王のページの見出しは『球を逃がすな! 王』だ。プロ入り後チャレンジした一塁守備は、まだまだ危なっかしいようだ。
本文巻頭は『開幕前夜の水原と宇野』。セの前年王者・巨人の
水原円裕と、台風の目と言われる国鉄・
宇野光雄監督の話だ。前年に続き、この年も開幕カード。昨年は金田─長嶋の対決で日本中を沸かせた。
座談会は『プロ野球は恐ろしい!〜注目された大物新人の1日』。国鉄・
北川芳男、巨人・
伊藤芳明、
広島・
興津達雄、
阪神・
村山実、大洋・
桑田武、
中日・
江藤慎一が出席者だ。センターグラビアでも『ルーキー大活躍』のタイトルで新人たちを特集していた。かなりの新人豊作年である。
いつもいつも長嶋か、と読者にみなさんには言われそうだが、今回も長嶋の連載『ぼくの日記帖』から少し抜粋してみたい。
結婚が決まった皇太子と正田美智子さんにコミッショナーからの依頼で、巨人の選手がサインボールを記念に贈ることになったのだが、長嶋はそれに色紙を1枚つけ、
「いつまでもラケット 巨人軍長嶋茂雄」
と書いた。2人が結ばれたきっかけはテニスではあったが、やはり独特の感性ではある。
さらに自身の恋愛観も書いてあった。
ぼくだって若いんですから、恋愛もしてみたいと思います。好きな人ができたら、なんと素晴らしいことだと考えてもみます。いままでそういう経験がないぼくのことですから、もしかしたら考えている以上に熱烈なものになるかもしれません。
でも、いまのぼくには、そんなことは必要ないのです。ただ野球があるだけです。ぼくの恋人は野球なのです。
う〜ん、青春だ。
連載漫画『イレギラー君』は最終回なしで終了。筆者の竹中顕は新連載『球界ホームラン家庭欄〜若いお父ちゃん』の挿絵担当になったようだ。代わりに今回から『三軍選手』がスタート。サインをなかなか覚えられない選手に無線を背負わせて指示を出していたら、その指示がラジオと混線。選手が聞いていたのは、ラジオの落語だったというオチだった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM