今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『大毎は日本シリーズで優勝できない~大洋に有利な七つの条件』
今回は『1960年10月19日号』。定価は30円だ。巻頭グラビアは『優勝を望む名将』。
三原脩監督の下、大洋が優勝に向かってラストスパートに入っていた。本文巻頭は、フライング気味に『三原脩はセ・リーグを制覇す』。9月26日からの巨人との直接対決密着リポートだ。26日は
島田源太郎、27日は
鈴木隆が好投を見せ、いずれも2対1の勝利を飾り、優勝がぐんと近づいた。
なかなか「優勝」の二文字を口にしなかった三原監督も、ようやく解禁。「8月の終わりごろ黒木弟(基康)、
桑田武と相次いで戦列から失ったときは、正直言ってもうダメかと観念の眼をとじたんです。ところが、まるで神がついたようにウチは負けなかった」と笑顔で語る。
パでは大毎がほぼ優勝確定とあって『大毎は日本シリーズで優勝できない~大洋に有利な七つの条件』という記事もあった。
野球評論家の
楠安夫は言う。
「常識的にいえば大毎は圧倒的優勢だ。だが、そういう常識論を打ち破ったのが、大洋だ。そもそもセントラルで優勝したこと自体、常識では考えられないことなんだ」
一方、V逸濃厚となった巨人は大揺れ。『動き出した巨人次期監督の工作』では、
水原茂監督の後任として日本初の三冠王・
中島治康、あるいは
川上哲治ヘッドコーチの昇格かと言われていたようだ。V逸以外に水原監督が株を落としたのは、ブリヂストンタイヤの
権藤博を獲得できなかったことらしい。あとは水原監督が直接会えば、という段階まで来ていたのだが、水原監督は重要首脳会議を理由に「会っていられない」と断り、
中日に奪われてしまったという。

大洋の松井メモが載っていた
12球団週間報告の大洋ページでは「松井メモの秘密公開」とあった。
松井武雄は専門のスコアラーではなく、二軍の投手。彼らが独自に工夫してつけていたメモに三原監督が着目し、一軍の試合のスコアは写真のような用紙に書き込み、イニングの合間にベンチの三原監督に届けていたという。
以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。
現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM