いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? 隠れた捕手王国
猛暑というか酷暑というか、あらためて自然の厳しさを思い知らされる2018年の夏。7月に入って、気象庁の観測で気温40度の大台を突破した第1号となった岐阜県。海がない内陸県で、南部の美濃地方は愛知県から広がる平野部は温暖だが、北部の飛騨地方は山岳地帯で、冬は豪雪となることも少なくない。自然が厳しい分だけ、山の幸は美味だ。近年はジビエも有名。イノシシやシカなど野生鳥獣の肉はクセがあるものの、味わい深い。
岐阜県出身のプロ野球選手も、味のあるプレーで魅せたクセ者が多い。その筆頭格は
高木守道だろう。名古屋が近いため
中日に所属した選手が多いのも特徴だが、他のチームで司令塔を担った名捕手も多い。筆頭はV9巨人で「影のMVP」とも評された森昌彦だ。
【岐阜ドリームチーム】
一(二)高木守道(中日)
二(三)
国枝利通(中日)
三(左)
千藤三樹男(
日本ハム)
四(右)
和田一浩(中日ほか)
五(捕)森昌彦(巨人)
六(一)
嶋基宏(
楽天)★
七(中)
英智(中日)
八(遊)
吉川尚輝(巨人)★
九(投)
梶本隆夫(阪急)
(★は現役)
実績、優勝経験ともに群を抜いている森が司令塔。現役の
石原慶幸(
広島)、嶋基宏、
大野奨太(中日)も岐阜県出身で、いずれも控えに置くのが惜しい捕手だ。
一方で、一塁手が不在。ここでは2014年6月6日の楽天戦(ナゴヤドーム)で一塁手として先発出場、6度の守備機会を無失策でこなした嶋を一塁へコンバートした。二塁は華麗かつ堅実な二塁守備でファンを魅了した高木。中日の草創期に正三塁手として活躍した国枝利通が、ここでも三塁に入り、打順でも一、二番でコンビを組む。
この名手2人に挟まる遊撃手には、期待を込めて現役の吉川尚輝を八番打者として入れてみた。二塁を守ることが多いが、遊撃の経験もある。バックトスの名人だった高木に鍛えられ、成長していくことだろう。
鉄壁の外野守備を誇った(蔵本)英智が外野の要として中堅に入り、吉川の前を打つ。左翼の千藤三樹男は強肩を誇った巧打の外野手で、ここでは主砲につなぐ三番打者だ。
その四番打者は右翼に入った和田一浩。四番打者として10年のMVPに輝いた強打者が、ここでも四番として打線の主軸を担う。一番から国枝、英智と並べて、高木と和田の三、四番コンビもおもしろいかもしれない。
ちなみに和田は小学3年で野球を始めてから
西武での若手時代まで一貫して捕手。やはり岐阜県は隠れた捕手王国といえるだろう。
勇者の快速球左腕が中心の強力バッテリー

阪急・梶本隆夫
捕手が盤石の層をなす岐阜県だが、投手陣も充実していて、パ・リーグで活躍した投手が多いのが特徴だ。
エースは梶本隆夫。阪急の低迷期から黄金時代の幕開けまで投げ続けて通算254勝を積み上げながら負け越した左腕が、V9の森とのバッテリーでチームを黄金時代へ導けるか。
先発は梶本と、完全試合を達成した武智(田中)文雄(近鉄)と
佐々木宏一郎(近鉄ほか)の三本柱に左腕の
小池秀郎(近鉄ほか)が続き、猛牛戦士が優勢。先発でも救援でも計算できる
金石昭人(日本ハムほか)がクローザーになりそう。セットアッパーは現役の
三上朋也(
DeNA)だ。
投手陣のキーパーソンは
朝倉健太(中日)。長くプレーしながら故障で一貫した活躍ができなかったが、やや破壊力に欠ける打線だけに、安定した活躍ができれば、強力バッテリーを中心に守り勝つ野球が完成しそうだ。
写真=BBM